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市長所信(平成20年12月)

ページID:0002708 印刷用ページを表示する 掲載日:2012年2月1日更新


平成20年12月5日議会で所信を述べる市長 皆さまおはようございます。

本日、12月市議会定例会の開催をお願いいたしましたところ、年末を控え何かとご多用にもかかわりませずご参集をいただき、誠にありがとうございます。

 さて、今定例会には一般会計補正予算をはじめ各種の議案を提出いたしておりますが、これら議案の説明に先立ち、新たに市政を担当することになりました私の決意と所信を申し述べ、議員各位並びに市民の皆さまの格別のご理解とご支援、ご協力をお願い申しあげたいと存じます。

 去る9月28日の高梁市長選挙におきまして、高梁を変えようと訴え、市民皆さまの信託をいただきました。私にはその信託に応える責任があります。

 今、この議会壇上に立ち、改めてその重責に身の引き締まる思いであり、皆さま方のご期待に応えるべく、郷土高梁の発展のため全身全霊を傾けていく所存でございます。

 私は、ここ高梁に生まれ育ち、27年に亘って高梁市の職員として行政の一端を担ってまいりました。その中で、市政の現状に矛盾や多くの問題点をひしひしと感じてもおりました。

 そのためにマニフェストを掲げ市長候補となり、高梁市の再生を目指していこうと市民の皆さまに強く訴えてまいりました。

 このマニフェストは「人・まち・自然を大切にする高梁の創造」のため、今後取り組むべき主な施策について市民の皆さまへのお約束としてお示ししたものであり、若さと行動力、市民の皆さまとの協働によって、着実に実行していく決意でございます。

 市長選挙の準備を進めていた最中の9月15日、全世界に激震が走ったリーマン・ショックが起き、百年に一度とも言われる世界的な金融不安が拡がりました。

 このため、景気の見通しは非常に厳しい局面を迎えています。既に、市内の企業にも直接の影響が表れており、今後の市政運営にとって、財政の見通しを含め、新たな課題として注視していかなければならない大きな問題と認識しております。

 今日、わが国においては人口減少、本格的な少子・高齢化社会の到来により、労働人口の減少、地域活力の低下など幾多の問題が生じております。

 本市におきましても人口の減少は続き、高齢化率は県下15市中トップの35.6%(平成20年10月末現在)と、時点の違いはありますが県下平均の23.6%(平成19年9月末現在)を大きく上回っている状況であり、農業の衰退など様々な問題が生じてきております。

 一方、国・地方を通じた深刻な財政状況の下、本市においても行財政改革を進めているところでありますが、平成26年度に合併特例期間が終了し、平成27年度からの5年間で、普通交付税が約20億円の削減となる見込みであります。

 しかし、こうした状況の中でも、行動を鈍らせ、何もできないとあきらめるのではなく、厳しい格差社会、自治体間競争の中で埋没しないためにも、市民ニーズや時代の変化に的確に対応し、確かな市政運営を積極果敢に進めていかなければなりません。

 そのため、次の3つの政策理念をもって「人・まち・自然を大切にする高梁の創造」を進めてまいります。

 第1は、新たな発想で、市役所内の既存の概念を打ち壊していかなければなりません。

 市民の皆さまと総力を挙げて市勢振興を図っていくためには、まず市役所職員の意識改革が求められると思います。

 職員の無気力感や閉塞感をこれまで感じてきており、まず、職員の意識が変り、職場内の意思疎通の仕組みを再構築し風通しのよい職場環境づくりが必要だと思っております。

 また、職員の考えや仕事内容を共有し、お互いの立場を理解し合えるような仕組みが必要ではないかと思います。時に応じて私も各職場での意見交換などを進め、今後政策等に生かしていきたいと思っております。

 「これはできない」から「どうしたらできるか」という可能性の発想を醸成し、市民のニーズや世の中の変化に前向きに対応してまいります。

 こうした発想で既存の概念を市役所内部から変えていき、新しいものを創り出していく、「高梁も、まだやればやれる」という機運を市内に起こしてまいります。

第2は、高梁市民が総力を挙げて、高梁の未来を創り出す体制を早急に整えてまいります。

 高梁市を再生していくためには全市民のマンパワーが必要です。私は、「市民力の結集」を最重要な政治手法としていきたいと考えております。そのために私自身が市民の皆さまに率直に問題を問いかけ、声を聞かせていただきながら、皆さまが自らの力を発揮していただける場面を創ってまいります。

 第3は、高梁の潜在能力を引き出し、活性化を図ってまいります。

 高梁市は、多彩で魅力ある歴史、伝統・文化、教育、産業など様々な潜在能力を秘めたまちであると確信しております。これらの資源を掘り起こし、生かしきれていない能力を引き出し、市民の皆さまとともに知恵を出し、汗をかきながら、高梁の再生とまちづくりなどの活性化に市民の皆さまのお力をいただきながら取り組んでまいります。

 以上が、今後4年間の市政運営にあたる私の基本的な考え方であります。活力ある高梁市の再生に向け、議員各位そして市民の皆さまと地方分権の時代を共有しながら、着実な歩みを進めてまいります。

 次に具体的な政策について申しあげます。私は「がんばろう高梁」を合言葉に、次の3つの戦略を市政運営の基本に据えて取り組みたいと考えております。

 第1点目は、「高梁をええところにする」ための戦略であります。

 市民生活に直結する行政サービスの質を向上させ、一人ひとりが安心して生活できるまちづくりを実現する「安全・安心な快適空間の創造」を目指してまいります。

 超高齢化社会の高梁市で、子どもからお年寄りまで安心して暮らせるための、保健・医療・福祉サービスの充実を進めてまいります。  

市民の皆さまの関心も高い市立成羽病院については、市長選で訴えましたとおり、地域医療体制や市全体の福祉施策を考える中で、一から再検討します。単に、病院の設置だけでなく他の関連施設との連携も念頭に置きながら、状況変化を踏まえて病院自らが果たす役割を明確にしてまいります。

 高齢者福祉については、生活習慣病や要介護状態に陥らない介護予防を中心に、生活の質の向上を目指した地域での支援が重要であると考えております。このため、地域包括支援センター業務の充実や老人クラブなどの高齢者生きがい支援事業を進めてまいります。

 また、障害者福祉については、障害者福祉計画の中で指針を示し、ノーマライゼーションの考えのもと、自立支援に重点を置きます。

 少子化対策は地域の崩壊を避け、活性化を図るために、緊急かつ重要な課題となっております。

 子どもを安心して産み育て、子育てと仕事を両立できる環境を整備することが、本市の未来を担う子どもたちの笑顔につながっていくのだと考えております。

 特に重点を置いて取り組みたい施策は、「子育てとその家庭支援」についてであります。

 本市におきましても、地域の連帯感の希薄化や核家族化・女性の社会進出などの諸要因に加え、社会構造等子どもたちを取り巻く環境の変化や、子育てへの不安が広がっております。

 家庭における養育力を向上させ、自信をもって子育てができる支援が急務であり、今こそ必要な施策と考えております。

 豊かな社会を築くためには、人が育たなければなりません。

 子どもたちは社会の宝であり、未来への夢と希望も子どもたちに託されてこそ輝きが増すものと思います。

 また、安心して子どもを産み、育てることのできる社会は、男女共同参画社会の要請でもあり、その実現のため、子育て支援や教育に全力を尽くしていきたいと考えております。

だれもが安心して子どもを産み、育てることができる環境の整備や地域コミュニティの役割がますます重要視されております。公共施設(学校、公園、コミュニティセンター等)を活用した交流会を実施するなど、家庭や地域及び保健・福祉・教育機関等の連携を深め、地域でできる子育てネットの充実を図ってまいります。

 また、保健師の家庭訪問と育児支援、妊婦検診費助成制度、医療体制の整備など、総合的な子育て支援を推進してまいりたいと考えております。さらに、ひとり親家庭に対する自立支援策の充実にも取り組みたいと考えております。

 これらの具体的な対策については、市民の皆さまのご意見も伺いたいと思っております。

 関心の高い教育では、小学校・中学校の義務教育のあり方について考えてまいります。子どもたちに行き届いた教育を行うため、子どもたちの個性を大切にしながら、それぞれの地域とともに、これからの学校教育を検討してまいります。

 子どもたちが安心して学び、いきいきと生活できる教育体制づくりは重要であります。

地域に根ざした学校づくりを推進するとともに、自ら学び考える力を醸成し、豊かな人間性と社会性を育成する多様な教育内容の充実を図ります。

 特に、これからの時代を担う子どもたちが「生きる力」を身につけるには、「基本的な生活習慣の定着とわかる授業」が鍵となることは言うまでもありません。そのための支援を積極的に行ってまいります。また、核家族化が進展する中、放課後に子どもが安心して活動できる場の確保を図ることは大切であり、さらに、特別支援教育の推進と不登校や学校不適応児童生徒に対する課題についても、早急に取り組みたいと考えております。

 これからの高梁市を担う子どもたちの健全育成を支援することは、大人である私たちの使命でもあります。

 次に市立高等学校再編については、これまで松山高校、宇治高校を1校に統合し、旧県立成羽高等学校跡地に昼間・夜間二部制の高梁市立高等学校を新設することとして、種々の検討がなされてまいりました。

 この件に関しましては、今後の生徒数の動向や行財政改革の視点などを考慮して、当面は現状のままで今一度検討を行い、今後の方針を出したいと考えております。

次に、学園文化都市づくりについてでございます。

本市にとりまして、大学は大切なパートナーであります。市民と大学、学生たちが互いに知恵を出し合い、大学がもつ知識を地域づくりに生かしていくため、市全域がキャンパスとなるような仕組みを創り、特色ある「大学のあるまち高梁」として共存共栄を図っていきたいと考えております。

 また、少子化の時代の中で、少しでも学生数の減少に歯止めをかけ、増加につながるよう大学に対しての支援も考えていかなくてはなりません。

 そして、多文化交流時代に対応した人材の集積と交流の促進、産学官連携による活力と個性のある「学園文化交流都市 高梁」を創っていきたいと考えております。

情報通信の整備については、どこに住んでいても同じ情報が共有できるよう、ケーブルテレビ網を川上・備中地域に整備するとともに、均一したサービスと利用しやすい料金体系を目指してまいります。

 交通体系の整備については、県補助金の大幅な見直しにより、市の財政負担は増大し、厳しく財政を圧迫しております。また、バス路線のない地域では、高齢者等の外出支援としての交通手段の確保等、新たな課題も生じてきているところでございます。

このことから、多くの人にご利用いただけるような、最も適切で持続可能なシステムの構築に向け、改めて検討していきたいと考えております。

 備中高梁駅のバリアフリー化のため、現在の東西連絡通路を生かし、橋上化も視野に入れた上で、エレベーターを備えた施設の整備を検討してまいります。

社会資本の整備として、地域の実情にあった道路網の整備や世帯向けの住宅対策を進めるとともに、上下水道の整備を中心とした生活環境の向上を図ってまいります。

 第2点目は、「高梁を元気にする」ための戦略であります。

 農業振興は本市にとって重要な課題の一つです。農業を取り巻く環境は厳しいものがありますが、関係機関と連携しながら、一歩一歩地に足のついた農林業の振興と対策に取り組んでまいります。

 後継者や新規就農者など担い手の育成支援と、企業とタイアップした流通システムの構築や産地化、農産物のブランド化、地産地消の推進など重点施策と位置づけて取り組んでまいります。

 特に、後継者不足から要望の多い農作業の受委託につきましては、作業の受託を希望される農家や団体で行っていただくこととし、市はそのための組織化を支援するとともに、農業機械・施設等の整備に対する補助金や資金融資等の側面的な支援を行うこととしております。こうした内容を基本的な枠組みとし、来春からの農作業に間に合うよう農協との細部協議を進めております。

 観光振興対策としては、高梁市の歴史、伝統・文化や自然などの豊かな様々な資源を生かすとともに、新たな資源発掘にも積極的に取り組みます。このため、私自身が先頭に立って、全市一体の観光戦略の立て直しを行い、必要なところには民間資金の導入も視野に入れながら、「もう一度訪れてみたくなるまち 高梁」の構築に取り組んでまいります。

中心市街地活性化のため、各種支援措置を活用し、大学と連携する中で、魅力ある商店街の賑わい創出を図っていきたいと思っております。

 次に定住対策として、地場産業の振興と企業誘致を進め、雇用の場の創出を図るとともに、世帯向けなどの住宅の建設にも取り組んでいきたいと思っております。また、ふるさと高梁へ回帰しようとする人たちには、農業体験や暮らし体験を通じて移住・定住を決められるような制度も考えてまいります。

 第3点目は、「高梁市政を変える」戦略です。

 情報公開と評価システムに基づいた行財政改革を推進し、強固な財政基盤を築くためには、「行政の無駄を一掃して、歳入を増やす努力を行い、必要なところにはお金を投入していく。」そうした考え方で財政運営を進めてまいります。

 現在、市が保有している施設のあり方、事務事業の推進についてゼロベースから見直し、市の将来を見据えた効率的な財政運営、行政組織の簡素化を進めてまいります。

 私自身、報酬を2割削減・退職金を半額とし、確固たる信念の下に改革の先頭に立ってまいります。副市長を2人から1人としております。また、不急不要な土地・施設の売り払いを進め、行政のスリム化を図るとともに、市長交際費の全面公開などを進め、市民の皆さまの理解と信頼を得るため大胆な改革を進めます。

 入札制度については、税金を大切に効率的に使うため、競争原理が働き、質の高い公共工事とするために改革を行ってまいります。

 次に、新庁舎につきましては、行政の効率化のため、現在分散している教育委員会・社会福祉事務所・仮庁舎などの現状を踏まえ、計画段階から市民の皆さまの意見を伺い、本庁機能の集積について財政面や利便性の点から検討を進めてまいります。

 私は行政サービスを提供することによる市民の皆さまの受益と、それに伴う負担の関係を認識した上で、市政を推進していくことが必要であると考えております。

 つまり「自助」「互助」「公助」の精神が大切であり、自らが行動し互いに助け合う中で、自助・互助でできないことに対して公助による支援を行うということであります。向う三軒両隣とも申します。小単位での連携の仕組みを再構築していきたいと考えております。

 これからは、市の将来を担う子供たちを含め、市民の皆さまにこれまで以上に市政に参画いただき、課題を共有しながら、高梁の再生と、市民の健康福祉・教育・農業・商工業・観光・まちづくりなどへの取り組みをとおして地域の活性化を目指してまいります。

 厳しい財政状況下におきまして、これから元気な高梁市を創っていくには、的確な計画づくりにかかっていると言っても過言ではありません。

 そのためにも、高梁市総合計画の見直しを進め、市民の皆さまがあらゆる場面で「高梁市は変わった・良くなった」との成果が実感できる計画づくりに努めてまいります。

市政の主人公は市民の皆さまであります。

 私は、皆さまの考えや願い、能力が十分に発揮される地域運営を行い、市民・議会・行政が一体となって取り組む協働のまちづくりを進めます。知恵と力を合わせて、安心と活力のあるまち、夢と希望のある、誇りが持てる高梁市にしたいと思っています。

 最後になりますが、私は市長としてこれから毎日が勉強、新たな経験の連続だと思います。市政の方向を市長としてしっかり見極め、舵取りをしていかなければなりません。

皆さまの市政に対するご意見、ご要望を聞かせいただく機会を出来るだけ作っていきたいと思います。また、特にこの1年間は、市役所の組織、機能を強化する重要な期間と捉えており、それに傾注したいと考えております。どうか、ご理解を賜りたいと思います。

 これからの4年間、活力ある「高梁市の再生」に、職員の先頭に立ち果敢にチャレンジしていく覚悟であります。

 議員各位、市民の皆さまのご理解とご協力を重ねてお願い申し上げまして、私の所信表明といたします。