ページの先頭です。 本文へ
現在地 トップページ > ようこそ市長室へ > 市長所信(平成22年3月)

市長所信(平成22年3月)

ページID:0001269 印刷用ページを表示する 掲載日:2012年2月1日更新

 皆様おはようございます。
 3月の声を聞きまして、日ごとに春の訪れを感じる季節となってまいりました。江戸の時代には、この月の5日に奉公人の契約更改ということがあったようでございます。まさに人事の季節でもあるわけでございます。
 本日、平成22年3月定例議会を招集いたしましたところ、議員各位におかれましては、御多用中にもかかわりませず御参集をいただきまして、まことにありがとうございます。また、平素市政全般にわたります御理解、また御協力を賜っておりますことに厚くお礼を申し上げる次第でございます。
 本議会に提案をいたしております議案は、88件でございます。提出議案の説明に先立ちまして、市政に取り組みます私の所信の一端、そして施策の概要等につきまして述べさせていただきたいと思っております。議員各位を初め、市民皆様方の御理解、また御協力を賜りたいと思っております。
 昨年12月の市議会定例会におきまして、「人・まち・自然にやさしい高梁」を都市像といたします高梁市新総合計画の基本構想について御議決をいただいたところでございます。このまちの実現を行っていくために、人の知恵とふるさとへの思いを生かしたまちづくり、新たな発想や積極的に挑戦する姿勢を大切にするまちづくり、自助・互助・公助を基本とした協働と連携のまちづくりを計画全体を進める上での基本理念といたし、これに基づきます平成22年度から5カ年間の基本計画を策定し、これから高梁市の将来を切り開く歩みを市民の皆様とともに力強く推し進めていきたいと考えております。
 また、総合計画基本構想の実現に向けまして、必要な財源確保、コンパクトな財政基盤の確立、社会情勢に柔軟に対応していくために、この計画策定と並行いたしまして、平成22年度から平成26年度までの5カ年間を推進期間とする第2次行財政改革大綱実施計画を策定いたしたところでございます。
 この大綱におきましては、後世に負担を残さない行財政システムへの転換を基本目標に置きまして、社会情勢の変化により生じた新たな課題を地域の実情や市民の意見を踏まえて解決をする。また、限られた財源や資源の中ですべての事務事業について検証し、見直しが必要なところには聖域なく見直しを実施する。事務事業の効率化、また財源、資源の捻出に資する取り組みを積極的に進める。合併特例期間の終了に伴う地方交付税の段階的な縮減による歳入減少が見込まれる中で、新総合計画に掲げた事業の着実な実行、これらを行うこととし、改革実施による目標効果額を累計ですが21億円と掲げ、その推進を行うことといたしております。
 平成22年度は、総合計画に基づき施策を確たるものとしていく計画実行元年と位置づけております。確かな足跡を刻む一年として取り組んでいきたいと考えておるところでございます。
 それではまず、重点課題といたしております事案につきまして、取り組む考え方を述べさせていただきたいと思います。
 情報化計画でございます。
 情報通信格差の是正を図り、また進展する情報通信技術を活用して、高度情報化通信社会に対応した地域づくり、市民サービスの向上、行政事務の効率化、高度化、これを目指し、本市の情報化計画に基づく整備を進めておるところでございます。
 新年度からは、従来提供してまいりました市の行政放送であります文字放送に加えまして、映像や音声情報、また特別番組を編集するなど、新しい取り組みで市民の皆様にもわかりやすい情報をお届けしていくことといたしております。
 ケーブルテレビの視聴料でございますが、身体障害者、ひとり暮らしの高齢者の方などを対象といたしまして、さまざまな諸条件はございますが、減免措置も講じていくことといたしておるところでございます。
 また、ケーブルテレビ網を活用いたしまして、医療、保健福祉、教育、産業振興などのさまざまな分野について、多様な市民サービスの展開が可能となるということで、その具体的な取り組みを進めていき、高度化された情報システムの運用によりまして市民サービスの一層の向上というものを目指していくこととしております。
 課題としております防災情報等の緊急情報の伝達手段につきましては、これも検討を加えております。その手段を補完する施策といたしまして、携帯端末を利用した配信システムの構築ということをすることといたしております。
 次に、定住推進対策でございます。
 地域経済の活性化を目指し、また元気な高梁を実現するために、定住人口や交流人口の増加をさせることは不可欠であります。都市部や市内外に居住されているいわゆる団塊の世代や若年者世代などに向けて、高梁市の魅力を発信するとともに、高梁市定住促進住宅建築費等助成金制度や若者向けを中心とした住宅の整備を計画的に取り組むこととしております。そして、PRも行いつつ定住対策に取り組んでまいりたいと考えております。
 新年度におきましても、ホームページにおける定住ポータルサイトの内容の充実、そしてさまざまな定住関連フェア等での具体的な定住の相談対応など、広報活動を一層充実していくこととしております。さらには、同窓会開催経費の助成でありますとか、ふるさと回帰へのきっかけをつくる、そして住民の皆さんの受け入れ意識の醸成でありますとか、市と民間団体との連携体制の構築、そういったさまざまな定住対策の取り組みを積極的に支援し、また進めてまいりたいと考えております。さらに引き続き、市政アドバイザー、県人会など、さまざまな団体にも働きかけもしていくことといたしております。
 次に、交通手段の確保についてであります。
 少子・高齢化、また自動車の普及ということによりましてバスなどの公共交通の利用者というものは減少の傾向にありますが、地域での公共交通の重要性というものは高いものがございます。児童・生徒の通学、また地域住民の通院や買い物の日常生活の移動手段として重要な役割を果たしております。各地域の交通施策の全市的な均衡、公平性の確保の観点から、平成21年度に地域公共交通活性化・再生総合事業の支援を受けまして、高梁市地域公共交通総合連携計画に基づいた交通体系の再編を進めておるところでございまして、その計画をつくってまいることといたしておるところでございます。
 この事業によりまして、民間バスサービスの空白地域をカバーする交通サービスでありますとか、そういった実証運行を行い、こういった結果をもとにいたしまして民間事業者の方と市が有機的な連携を図ることによります利便性の向上、また利用の拡大、ネットワーク化といった取り組みを進めてまいることといたしております。
 次に、子育て支援でございます。
 急速な少子化の進行は、本市にとっても例外ではございません。子どもを生み育てる喜びを実感できる社会の実現は重要であり、社会全体での少子化、次世代育成支援の取り組みというものは不可欠であると考えております。
 このことから、本市におきましては、たかはし子ども未来ゆめプラン、高梁市次世代育成支援行動計画に基づき子育て支援の充実を図るべくさまざまな施策を講じているところでございます。
 そして、本年度多くの皆様の御意見、御要望等を十分に踏まえながら、平成22年度から平成26年度になりますが、子育て支援の施策の指針となりますたかはし子ども未来ゆめプラン?でございますが、高梁市次世代育成支援行動計画の後期計画を策定中でございます。
 この計画では、家庭、地域、企業、職場、関係団体、行政などがともに役割を分担し、協力し合って子育て支援に取り組むことを目指しております。子育てに喜びや楽しみを持ち、子どもを安心して産み育てることができる社会、そして、子ども自身が健やかに育っていける社会の構築を目指しており、子育て中の親子の触れ合いを目的に児童ふれあい交流促進事業、また外部講師によります学童保育事業の充実に向けて学童保育コーディネート事業、そして子どもたちに本物体験をさせ、夢を抱く豊かな感性をはぐくむよう広がる子どもの夢事業、そして三世代同居のよさと魅力を再認識していただくために三世代のよさ再発見事業、さらに子ども医療費支給事業では対象を高校3年生まで拡大するなど、家庭における子育て支援、子育てコストの軽減を図るなど、さまざまな角度から少子化対策に取り組んでいきたいと考えております。子どもは、未来社会の担い手であり、社会全体の貴重な宝であります。子育て世代の皆様が安心して子育てができ、そして子育てに喜びと楽しさを感じていただけるよう、引き続き施策の充実に取り組んでいきたいと考えております。
 次に、自然環境の保全と循環型社会の形成についてであります。
 温暖化を初めといたします地球環境問題が深刻化する中で、化石燃料に過度に依存しない低炭素社会への転換が極めて重要な課題となっております。このため、温室効果ガスの排出削減やエコの導入など、環境に配慮した取り組みに市民の皆様の一層の御理解と御協力をいただき、私たちの生活を見直し、環境に優しいものに変えていく必要があります。とりわけ、家庭でできる取り組みを一層推進していきたいと考えております。さらに引き続き、住宅用太陽光発電補助制度につきましても、その活用を推進することといたしております。また、環境学習イベントや環境フェアなどの市民の皆様にもわかりやすい事業の実施を行うことによります温暖化防止に対する意識の醸成ということにも努めてまいりたいと考えております。
 地球環境への負荷を軽減するためには、循環型社会の持続可能な社会を形成することは非常に重要なことであります。ごみの一層の分別による減量化、またリサイクルの推進など、資源やエネルギーの消費をできる限り抑制する、それを市民、事業者、行政が一体となった取り組みを進めていくことが重要であります。このため、今後ごみの発生抑制でありますとか、リサイクル推進等を目指し、ごみの減量化、資源化への具体的施策に関する計画づくりを進め、ライフスタイルの転換や環境に優しい事業活動の展開とともに、環境負荷の低減を基調としました取り組みを総合的な観点から進めてまいりたいと考えております。これは、あわせましてバイオマスタウン構想にも関連するところでございます。同計画によります再生可能な有機性資源、これを農業や福祉への展開といったことも推進してまいりたいと思っております。
 次に、農林業の振興についてでございます。
 本市の農業基盤は、地理的な条件から規模が非常に小さく、高齢化等により経営的にも厳しい状況が続いております。今後、高梁市の特性を生かし、特産農産物の普及推進により、農家所得の向上につなげるべく各種施策に取り組んでまいりたいと考えております。
 農産物価格の低迷によりまして、農業経営意欲の低下が深刻なことから、農産物の加工やブランド化等により付加価値を高める、そして都市部への農産物の販売を促進するなど、生産と加工、販売を連携させ、農家所得の拡大による生産意欲の向上を図ってまいりたいと考えております。
 営農コスト削減のためには、集落営農組織等への農作業の受委託の推進や意欲のある農業者への農地の集積等を図るとともに、新規に就農される方、また若い農業者を確保するため、認定農業者、集落営農組織の経営手法や経営感覚を広めていき、農業への志向者が増すよう誘導を図っていくこととしております。
 また、小・中学生の子どもたちに食の安全や食育についての学習機会を設けるなど、宿泊をしながら農林業体験等の交流活動を行い、あらゆる地域資源を有効に活用し、地域の活性化を図るといった取り組みをも支援をしてまいりたいと考えております。
 さまざまな要因から耕作放棄地となり、その再生、利用は大きな課題となっております。農山村の景観保全を図るため、引き続き中山間地域直接支払制度にも取り組んでまいります。
 本市の約8割を占める森林でございますが、木材の生産、そして水源涵養、洪水や土砂崩れの防止等、非常に重要な役割を果たしております。しかし、森林を守り育ててきた林業、これは木材の価格の低迷によります担い手の減少、高齢化により手入れが滞り、森林の持つ機能が一層低下をしてきております。このような森林機能の回復をさせるため、重点的に天然林の整備ということで美しい山を守ろう隊を結成し、所有者と一緒になって山林の手入れを行うことにより、公益的機能を発揮させるとともに優良木材の生産に結びつけた森林をつくっていきたいと考えております。
 また、本市は県内有数のマツタケの産地でもございます。経済的な資源でもあることから、アカマツの保全ということに対しまして空中散布でありますとか松くい虫被害木の処理、樹幹注入などの実施も進めてまいります。
 次に地域経済の振興でございますが、これはまちの活性化にもつながる重要な課題でございます。商工業の振興につきましては、商工会議所や商工会などとの連携、これを一層密にしながら、これまでも市内の消費拡大という観点からのプレミア商品券の発行等を含め、種々の施策展開も図ったところでございます。引き続き、経営基盤の安定化、また中小企業の振興という観点から融資制度の事業継続や拡大でありますとか、利子補給や信用保証料補助制度等による支援を引き続き進めてまいりたいと考えております。
 また、地元唯一の商工業の指導的な団体でもございます商工会議所、商工会に対して、その活動の助成を行い、地元企業の経営指導の強化でありますとか、商店街の活性化を推進するとともに、高梁地域ならではのブランドづくりも農商工の連携によってつくっていきたいと考えております。
 次に、歴史と伝統を生かしたまちづくりについてでございます。
 平成20年11月に、地域における歴史的風致の維持及び向上に関する法律が施行されております。歴史的風致とは、その固有の歴史及び伝統を反映させた人々の活動とその活動が行われる歴史的価値の高い建造物及びその周辺の市街地が一体となって形成してきた良好な市街地の環境ということになっております。現在、さまざまな理由で歴史的な建造物等が急速に減少してきており、いわゆる歴史的風致が失われつつあります。
 こうした状況を踏まえ、歴史的風致を後世に継承するまちづくりの取り組みが重要となっております。この法律の施行は、本市が抱える歴史的な風致の維持に対する課題を整理し、対策を講じていくための絶好の契機であるととらえております。本年度その高梁市の計画策定に向けて現在鋭意取り組んでおるところでございます。重要文化財であります備中松山城、そして風情や情緒のあるたたずまいの城下町、重要伝統的建造物群保存地区であります吹屋地区の町並み、そして備中神楽、渡り拍子、松山踊りなどの伝統的な文化や芸能など、長い歴史と伝統を誇るものをはぐくみつつまちづくりを展開もしてきたところでございますが、今後この計画に基づきまして歴史的風致の維持向上を図り、町並みや景観を生かしたまちづくりを重点的、一体的に推進するため、ソフト事業、ハード事業、さまざまな事業を組み合わせて展開をしていくこととしております。この計画におきましても、この法律の運用指針によりましてパブリックコメントを実施するほか、市民の皆様との話し合いを進めながら、みんなでつくり出していくまちを目指すことといたしております。
 次に、観光振興でございますが、本市の観光資源というのは非常に豊富なものに恵まれておると思っております。しかしながら、観光客の動向ということをとらえますと、観光客数は減少傾向にあることから、地域経済への波及効果というのがやや低くなっておるといったことも現状でございます。
 このため、観光戦略といたしまして、高梁市元気プロジェクト事業、さらには高梁市の歴史的風致維持向上計画によりまして、いわゆるおもてなしの精神で、市民のだれでもが観光客を温かくお迎えをする、その機運の醸成と、歴史的価値を高めた新たな地域資源を活用して滞在型観光を推進し、訪れてみたいまちとして積極的に情報発信をしていくこととしております。
 次に、学園文化交流都市の推進についてであります。
 本市では、多くの学生が学び、教育、文化、地域の経済に大きな貢献をしております。高梁学園、そして学園文化都市づくり協議会を初め、関係機関との連携、協力によりまして、全国から学生が集まる魅力ある大学のまち高梁をつくっていくことが必要であると考えております。魅力ある大学づくりを支援していくとともに、学生と市民との触れ合いやまちづくりへの参画など、学生と地域との交流というものを一層推進をしてまいりたいと考えております。
 次に、高梁市の新庁舎の検討についてであります。
 現庁舎は、昭和34年の建築であり、老朽化も著しいものがございます。また、極めて狭隘であり、行政事務の効率化、また市民の皆様の利便性、安全性の視点から、今後どうあるべきかというのが重要な課題であります。その中で、新庁舎の建設ということも喫緊の課題となっておるわけでございます。
 新庁舎には、現庁舎が抱えるさまざまな問題を解消し、多様化する市民ニーズに的確にこたえるべき機能と、また高度情報化に対応した機能、さらに災害時の防災拠点としての機能を備えることが求められております。現在、新庁舎の基本構想策定に取り組んでおりますが、市議会への説明を初め、この3月中には新庁舎等建設検討協議会を立ち上げ、多くの皆様の意見をいただきながらまちづくりの観点、市民の利便性や交通の事情、経済性など総合的な検討を加え、基本理念と機能、規模等について取りまとめを行いたいと考えております。
 次に、JR備中高梁駅バリアフリー化についてでございます。
 JR備中高梁駅の乗降客でございますが、ここ数年減少しております。平成20年には1日当たり5,000人を下回るという非常に残念な状況でございます。こうした中で、JR伯備線備中高梁駅利用促進協議会を立ち上げ、その利用促進を呼びかけておるところでございます。1日当たり乗降客5,000人以上の駅にありましては、平成22年度まででございますが、国のバリアフリー化事業を活用することによりまして、エレベーターの設置でありますとかトイレのバリアフリー化の実施ができることから検討を重ねてきたわけでございますが、本制度の活用というものは現在の時点ではできない状況でございます。
 高梁市自立支援協議会からバリアフリー化の早期整備の要望も受けておるところでございます。交通弱者の移動の向上というものを促進するため、バリアフリー化に向け現在基本計画の策定も進めておるところでございますが、新年度におきましてJR西日本との基本協定等によりまして早期整備に向けて準備を進めているところでございます。
 次に、国民健康保険成羽病院についてであります。
 全国的にも自治体病院は、医師不足、また診療科の減少、経営状況の悪化等が深刻化し、加えてその経営母体である自治体そのものの財政状況の悪化に伴い一般会計からの繰り入れすら厳しい状況であり、病院本体の経営が非常に危うい状況に直面しており、成羽病院においても将来的には運営上楽観視できる状況ではないことも事実でございます。
 しかし、現建物の老朽化、また市の医療、福祉施策の展開を見据える中で、新病院改築という大きな決断をしたところであります。3万人規模の自治体にとってはまさに市運をかけた大事業でございます。将来にわたり救急医療と地域医療等の安定確保と、より高品質な医療等を市民に提供していくため、地域医療の核となるマグネットホスピタルを目指し取り組んでまいりたいと考えております。
 次に、国民文化祭でございます。
 ことしの10月30日から11月7日にかけて、岡山県内全市町村を会場にいたしまして第25回国民文化祭が開催をされます。本市におきましては、童謡、神楽、漫画の3部門のフェスティバルを開催することとして準備を進めております。この国民文化祭には、全国から多くの出演者、また観光客の方の来訪が見込まれております。高梁市の魅力や文化力を全国に発信できる絶好の機会でもあります。そして、開催準備に市民の皆様とともに取り組んでいく中で、世代を超えて多くの方々と交流し、市内はもちろん全国から来られた方々が文化を通じた地域づくりへ向けて知恵と元気を共有できるような、そんな国民文化祭にしたいと考えております。市民の皆様には、おもてなしの心で来訪される方々をお迎えいただくとともに、準備から開催までを通して積極的にかかわっていただき、市民総参加の文化の祭典となるよう御協力をお願いしたいと思っております。
 最後に、行政組織、機構についてであります。
 行財政改革の視点から、新たな行政課題や市民ニーズに迅速かつ的確に対応するため、適正な定員管理と人員配置を行うとともに、簡素で効率的な行政組織を目指しております。平成22年度は新総合計画の初年度であり、本計画に基づく事業を円滑に実施するとともに、さまざまな環境の変化や喫緊の課題に対応するため、最小限の行政組織、機構の改革を行うこととしております。
 主な改革でありますが、総務部総務課と財政課を統合いたします。総務部に歴史まちづくり課を設置し、歴史的風致維持向上計画並びにまちづくり交付金事業、元気プロジェクト事業など、新たに取り組むまちづくり関連事業の推進を行います。
 教育委員会部局では、教育総務課と学校教育課を統合いたします。なりわビジョン配信終了に伴い、成羽地域局地域振興課情報係を廃止し、総務部企画課公聴広報係で充実させることなど、1課2係を設置し、2課3係を削減し、時代の要請する執行体制を整えることといたしております。
 今日、経済社会は100年に一度あるかないかと言われる危機的な状況下にあると同時に大きな変革期であり、未来の予想が困難な時代であります。しかしながら、どんな社会になろうとも、地域やコミュニティがしっかりとした進取の精神あふれるまちにしていかなければならないと思っております。今日の日本社会、そして私たちの地域社会、支え合い、きずな、コミュニティがどうなのか、改めて問い直すときに来ているのではないかと思っております。
 地域にはさまざまな課題があることも承知をしております。子育て、子どもの教育、安全・安心、集落の維持、福祉、伝統文化の継承、このような地域課題の解決に向けて市民の皆様にも御参加をいただき、ともに力を合わせて取り組むという新たな体制でまちづくりをスタートしていきたいと考えております。この参画と協働のまちづくりを通じて、何よりも大切にしなければならないことは、地域のコミュニティ、きずなだと思っております。そのことを基本に据えながら、厳しい時代、不撓不屈の精神でまちづくりを推進してまいりたいと考えております。「人・まち・自然にやさしい高梁」の構想実現に向けて全力を傾注していく所存であります。議員各位を初め、市民の皆様の一層の御理解、御協力を賜りますようお願いを申し上げます。
 以上、所信の一端を述べさせていただきました。
 さて、2月の月例経済報告によりますと、景気は持ち直してきているが、自立性に乏しく、失業率が高水準にあるなど、依然として厳しい状況にあるとされています。先行きにつきましては、当面厳しい雇用情勢が続くと見られるものの、海外経済の改善、また緊急経済対策の効果などを背景にして、景気の持ち直し傾向が続くことが期待される。一方、雇用情勢の一層の悪化、また海外景気の下ぶれを懸念し、デフレの影響など、景気を下押しするリスクが存在することに留意する必要があるというふうにされております。
 物価の動向を総合してみますと緩やかなデフレ状況であり、政府は、家計の支援により個人消費を拡大するとともに、新たな分野で産業と雇用を生み出し、日本経済を自立的な回復軌道に乗せ、内需を中心として安定的な経済成長を実現するよう政策運営を行うこととしております。このため、明日の安心と成長のための緊急経済対策を推進し、平成22年度予算及び関連法案の早期成立に努めるとともに、新成長戦略の具体化を行い、その実現を図るとしています。
 本市におきましては、昨年国の補正予算の成立を受けまして、生活対策、経済危機対策、公共投資臨時交付金などで予算措置を講じてきたところでございます。本年に入りましてさらにきめ細かな幅広い事業を対象として、地元の中小企業、零細企業が受注できるような事業を対象としまして、インフラ整備等の支援を目的とした地域活性化・きめ細かな臨時交付金を充当いたしまして、本年度の補正予算で対応することといたしております。あすの安心、そして成長のための緊急経済対策の補正予算として取り組んでいくこととしております。
 それでは、平成22年度の予算編成の基本的な考え方について申し上げたいと思います。
 地方公共団体を取り巻く国の財政支援につきましては、雇用等の臨時特例費のための特別枠と、こういったものの創設などによりまして、地方交付税につきましては3年連続の増加になるなど一時的な好転は見られておりますが、企業収益の減収見込みなどによります税収の落ち込み、また自主財源への依存度が非常に低い本市にあっては、依然として厳しい財政事情に変わりはない状況にあります。
 こうした中で、平成22年度の予算は、新総合計画、行財政改革大綱の理念に基づきます各施策の棚卸し、また各経費の見直しを徹底して行うとともに、各種施策の優先順位を明確にし、限られた財源の中で各施策の重点化と効率化を図り、将来を見据えた財政の持続性、計画的な事業推進を基本に編成を行い、特に重点的に取り組む事業といたしまして、子育て支援、また教育の振興、定住、産業、環境などの各種施策へ優先的な配分に努めたところでございます。
 予算規模と主要施策についてでございます。
 一般会計の予算規模でございますが、218億8,000万円で、対前年比6,000万円、0.3%の増となっております。19の特別会計を加えた合計でございますが、357億6,183万7,000円で、対前年比1.2%、約4億3,500万円の増としたところでございます。
 歳入面でございますが、市税につきましては、景気後退に伴います個人所得、また企業収益の減少によりまして、個人市民税は対前年比7.8%の減、法人税につきましては41.8%の減など、市税全体では5.3%の減額を見込んでおります。地方交付税につきましては、別枠加算等もございまして、対前年比2.9%の増を見込んでおるところでございます。あわせまして、臨時財政対策債につきまして43.5%の増を見込んで、実質6%、約6億9,000万円の増となっております。市税、譲与税を含めた一般財源総額でございますが、対前年比2.2%の増、3億5,000万円強の増となっております。市債につきましては、対前年比2.2%の減でございますが、いわゆる臨時財政対策債を除きますと29.9%の減としておるところでございます。また、全会計ベースでございますが、普通建設事業費充当の地方債の発行額を13億7,960万円とし、平成23年度以降の普通建設事業費への充当発行額増といったことにも対応するため、平成18年度に策定をいたしました公債費負担適正化計画に基づきます単年度発行基準額、これは22億円でございますが、これを約8億円下回る額に抑制をしたところでございます。
 歳出面でございますが、各性質別の増額、また減額の要因ということでございます。まず、増の要因でございますが、扶助費でございます。これはもう子ども手当の新設、また子ども医療費の拡充、障害者自立支援法の対象施設の増加、報酬単価等の上昇に伴いまして17%の増となっております。物件費でございますが、インフルエンザの予防接種委託料、また固定資産税の評価がえに伴います不動産鑑定委託料の増加に伴い6.7%の増となっております。補助費でございますが、私立学校の入学奨励金、広報費補助金、またケーブルテレビの減免補助金などの新規施策、さらには後期高齢者医療の療養給付費負担金、これが増加をいたしておりますので、10.2%の増となっております。繰出金につきましては、償還金の増加に伴います下水道事業特別会計等の繰り出しの増加によりまして9%の増。積立金につきましては、平成23年度以降の大型事業に備えます開発事業基金への積み立てということで127.1%の増となっております。
 減の要因でございますが、人件費が、行財政改革大綱及び財政健全化計画の着実な実行によりまして、議員報酬、特別職給与、職員給与、総体合わせまして1億6,100万円の減となったわけでございますが、いわゆる共済費の負担率が上昇をいたしました。これによります約1億円が増加となっておりますので、人件費全体では1.3%の減ということになっております。
 また、普通建設事業につきましては、地域IT事業の減、また新総合計画の実施計画における各事業の見直しなどによりまして、対前年比23.2%の減となっておりますが、単市道路改良などの施策につきましては前年とほぼ同額を確保したところでございます。義務的経費であります公債費につきましては、通常分の償還がピークを終えたということで10%の減となっております。
 平成22年度の予算を新総合計画の施策体系に基づき、その主要施策を若干述べさせていただきたいと思います。
 まず、地域産業、地域資源を生かした活力あるまちについてでございます。農林水産業の振興でございますが、ピオーネ、トマトなどにつきましては、農業協同組合と連携した産地化を進めるため、生産農家への支援、また生産拡大対策、そして省力化、品質向上、消費拡大対策のための機械設備の導入に対して支援を行うほか、中山間地域等直接支払制度及び森林整備地域活動支援事業によります交付金の交付を引き続き行い、農地、森林の保全に努めることとしております。また、新たに農産加工品のブランド化に向けた取り組みといたしまして、その調査分析等も専門的に行い、ブランド化を進めてまいりたいと考えております。
 林業の振興では、里山を守る制度の創設を行い、また担い手の育成のための林業実務研修についても実施をしたいと思っております。
 商工業の振興につきましては、金融支援等によります地場産業の育成を図るとともに、景気後退による企業の資金繰りの悪化に対応するための緊急対策資金融資利子補給を行ってまいります。
 地域商業の活性化支援としましては、商店街の情報化システム整備に対します助成、また高校生によりますチャレンジショップ事業、また市内で結婚披露宴を開催した場合の助成、ハッピーウエディング事業を行うこととしております。
 観光につきましては、引き続き備中松山城への乗り合いタクシー、また吹屋ふるさと村への周遊観光バスの運行、産学官連携によります学習観光など、観光資源の有効活用によります観光客誘致の促進に努めるとともに、観光タクシー助成等も行ってまいります。また、今年度から行っております備中高梁元気プロジェクト、これは事業の推進協議会が母体でございますが、地域間交流、また観光魅力づくり、受け入れ態勢等の調査、研究、また事業実施ということを進めてまいりたいと考えております。
 次に、美しい自然環境と快適な生活基盤が調和した共生のまちについてであります。
 循環型社会の形成並びに低炭素化社会の実現に向けた具体的な施策立案のために、一般廃棄物の処理基本計画といったものを策定してまいりたいと思っております。また、環境にやさしいまちづくり、地球温暖化対策の一環としましての太陽光パネル設置補助金の交付も引き続き進めてまいります。
 また、環境に調和した社会基盤整備といたしまして、市道改良でございますが、道整備交付金等の制度事業の取り組みによります路線の改良を継続的に行うことに加えまして、一昨年度から6カ年計画で進めております橋梁点検、調査を引き続き行うこととしております。あわせまして、まちづくり交付金事業といたしまして、落合町阿部地区に市民公園の整備を計画しております。
 水道でございますが、良質な水の供給ということの観点から、成羽簡易水道、川合簡易水道、備中北部簡易水道の区域拡張、施設改良、また送配水管等の施設整備によりまして、水量の確保、また水質の改善を行います。下水道につきましては、処理場の水処理施設、設備の改築工事を行うこととしております。
 次に、心のつながりを大切に支え合い助け合う安心のまちづくりについてでございます。
 安心して子どもを産み育てることのできる環境整備といたしまして、いわゆる三世代同居、これのよさの再認識をし、三世代同居を望む市民がふえることを目的としまして、推進大会の開催でありますとか、三世代のPR番組等の作成を行い、三世代同居のよさというものを勧めてまいりたいと思っております。また、子育てしやすい環境、就労環境づくりのため、子育てを積極的に応援する企業等の支援も行ってまいりたいと思っております。
 さらに、子どもを持つ家庭の経済的な負担軽減を図るため、医療費の助成対象を満18歳に達する年度末までに拡充するとともに、高校生を持つ家庭を対象とした子育て支援を研究することといたしております。
 老朽化をしております私立保育園の整備助成も行うこととしております。
 また、妊婦健診でございますが、14回分の無料化、また不妊症対策といたしまして、医療費の助成拡充、感染症予防対策といたしましてインフルエンザ等の予防接種の助成を行うこととしております。
 そして、これは定住とも関連をいたしますが、看護師養成、そして地域医療機関または福祉施設への就職促進のために奨学金の貸し付けを行うこととしております。
 みんなで支え合い助け合う地域福祉活動を推進することといたしまして、引き続き福祉移送サービス、また人工透析者への交通費助成等による支援、障害者自立支援法に基づきます総合的な障害者サービスの提供、また地域活動支援センターの利用促進のための通所者への交通費の助成も行ってまいります。さらに、在宅酸素療法者の方の経済的負担軽減のために電気代の一部を助成といったことも行うことといたしております。
 次に、地域文化と心豊かな人をはぐくむまちについてであります。
 心身ともにたくましい子どもが育つ学校教育の推進に向けて、地域の特性や学校の個性を生かした授業の充実を図ることとしております。理科支援員の配置、外国語指導助手の派遣によります授業力の向上を図ってまいります。また、障害児への支援のため、特別支援員を12名から15名に拡充をし、特別支援教育の充実を図ります。遠距離通学費助成の条件を緩和し、幼稚園、小学校、中学校での遠距離通学費の全額助成を行い、より一層の負担軽減、また私立高校への入学を促進するための入学奨励金を支給をいたします。
 学校施設整備については、富家小学校体育館の耐震補強工事、また落合幼稚園の耐震補強実施設計を行うほか、成羽中学校体育館、備中中学校の校舎、体育館などの耐震診断を行います。
 市民の皆様の文化教養の向上、そして健康の増進、社会福祉の向上のために、公民館活動を通じた生涯学習を進めてまいります。
 さらに、読書をするということはこれからの人間形成においても非常に大切であるという認識から、市内の学校の図書の充実を図るほか、高梁中央図書館や他の図書館、室のサービス向上を図るため、図書管理システムを導入し、利用しやすい図書館の体制整備を進めます。
 また、食や健康に関する子育て支援講座を開催するとともに、子どもたちの可能性や夢を広げるための文化、スポーツ、最先端科学などの実体験や見学などをする講座を開設いたします。スポーツ振興計画等に基づき、少年サッカー、少年野球、バレーボールなどの各種大会及び教室の開催も行い、市民の生涯スポーツの振興も図ってまいります。
 最後に、市民と行政の協働と連携で自立するまちについてであります。
 市民が主役のまちづくりを推進することとして、地域の特性と創造性を生かしたまちづくり事業を対象といたしまして、まちづくり協議会に対して地域振興交付金を交付いたします。また、市政に対する意見、提言を聞くため、市政アドバイザー懇談会も開催をしてまいりたいと思っております。さらに、広く市民の皆様から建設的な提言、アイデアを募るための市長ふれあいトーク、また市政へのアイデア便も引き続き実施することとしております。
 以上、平成22年度の主要な施策について申し上げさせていただきました。