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市長所信(平成28年3月)

ページID:0016932 印刷用ページを表示する 掲載日:2016年3月2日更新

 みなさんおはようございます。
 3月に入りました。昨日は真冬並みの寒波に見舞われ、高原部では積雪もあるなど冬に舞い戻った感じですが、今日からは暖かくなるという予報のようです。明日は桃の節句。かわいらしいお雛様が飾られているご家庭もあるかと思います。「子は宝」と申しますが、本市にとっても貴重な宝でございます。次代を担う子供たちが健康で元気に成長することを願ってやまないところであります。
 さて、本日平成28年3月の議会定例会を招集いたしましたところ、議員各位におかれましてはご多用にもかかわりませず、ご参集をいただき、誠にありがとうございます。また、平素は市政全般にわたり、ご理解、ご協力を賜っておりますことに厚くお礼を申しあげます。
 今3月議会に提案をいたしております議案は79件であります。提出議案の説明に先立ちまして、諸般の報告と市政に取り組む所信の一端、また、新年度における施策の概要等について述べさせていただきたいと思います。

 まず、水道事業であります。上水道と簡易水道統合後の水道料金につきましては、市民の皆様に色々とご心配をおかけしているところでございます。本年1月6日、国は一定の条件を満たした場合、簡易水道事業統合の期限を、これまでの平成28年度末から平成31年度末までの3年間延長することを決定いたしました。これにより、本市の水道統合につきましては、平成18年度に策定をしました統合計画に掲げている事業が完了する平成30年度末まで延長することといたしました。
 また、上水道・簡易水道統合後の激変緩和措置といたしまして、簡易水道事業に講じられている高料金対策と建設改良について、10年間地方交付税等の財政措置が引き続き講じられることとなりました。
 市では、こうした国の考え等を2月24日に開催した高梁市水道経営審議会に報告をいたしました。水道料金の改定等健全な水道経営に係る諮問につきまして、新年度に改めてご審議をお願いすることとしたところでございます。
 今回のことにつきましては、全国の関係自治体とも連携し、国への要望活動を行ってきたところでもあります。関係する皆様や議員各位のご協力、ご高配の賜であると感謝申しあげる次第でございます。

 次に山田方谷日本遺産登録についてであります。
 「日本遺産」は、地域の歴史的特色や文化財にまつわるストーリーを国が認定するものであります。本市を含め方谷さんが湯治に訪れた湯原・真賀温泉のある真庭市、再興に尽力した旧閑谷学校がある備前市など、方谷さんとゆかりのある5市1町による協議会として、2月5日岡山県を通じ国に申請を行いました。方谷さんの残した幕末の「地方創生」事業の足跡は、有形・無形の文化財として評価されています。日本遺産の申請にあたっては、こうした点在する資源にストーリー性を持たせ、ネットワーク化することで、知名度のアップや新たな観光ルートの開発を図るなど、交流人口の増加につなげていくことを考えております。桜が咲く頃の吉報を待ち望んでいるところでございます。

 次に、少子化対策事業の一環として、昨年11月から取り組んできました子育て応援ドラマ「さくらとあゆ~高梁(ここ)で生まれた私の物語~」が完成し、2月11日、文化交流館で試写会を行いました。
 このドラマは5回シリーズとなっており、これまでに吉備ケーブルテレビで第2話まで放映が行われています。ドラマの制作にあたっては、多くの市民の方々や市出身の歌手、声優さんなどの出演、あるいはスタッフとしてたいへんなご協力をいただきました。改めて感謝申しあげます。
 ドラマでは、本市が取り組んでいる子育て支援制度の紹介をはじめ、市内の観光名所や特産品なども随所に出てきます。またこのドラマは、市のホームページで見ていただくこともできますので、ご親戚やご友人などに声をかけていただき、市内外の多くの方にご覧いただくことで、少子化対策及び移住・定住につながっていくことと考えております。よろしくお願いいたします。

 次に、「第2次高梁市教育振興基本計画」策定についてでございます。教育委員会では現在、平成28年度から平成32年度までの5年間を計画期間とした、「第2次高梁市教育振興基本計画」を策定しております。
 この計画は、就学前教育や学校教育、社会教育、スポーツ振興に関する施策や事業を対象とした教育行政の重要な柱となるものです。基本目標は、「大志を抱き未来を拓く人づくり」とし、「知・徳・体」をバランスよく身に付け、夢や目標を実現するために努力し、ふるさと高梁に愛着と誇りを持てる人材の育成を目指すものでございます。
 また、第3次高梁市人権教育啓発推進指針の策定を現在進めています。平成18年4月に人権教育啓発推進指針を策定し、平成23年3月の改訂を経て、様々な取り組みを進めてきたところでございます。
 今後5年間における本市の基本方針及び推進方向を明らかにし、市民と行政が一体となった人権尊重社会の構築を進めていくものでございます。
 いずれの計画も策定の後は、お手元に配布させていただきますので、よろしくお願いいたします。

 続きまして、新庁舎や備中高梁駅周辺等の工事及び旧吹屋小学校保存整備工事の進捗状況等についてご報告申しあげます。
 まず、新庁舎周辺整備工事につきましては、昨年7月から旧庁舎の解体工事に取り掛かり、現在では駐車場整備、車庫会議棟建築及び周辺道路整備工事を行っています。いずれの工事も3月末の完成を目指し、現在急ピッチで仕上げを行っているところでございます。

 図書館を核とした複合施設建設工事につきましては、昨年10月に着工し、現在は基礎工事を進めております。その後は躯体工事へと移り、12月の完成を目指しております。

 駅西ロータリーにつきましては、現在、側溝や照明の設置工事が完了し、徐々にロータリーの形が明らかになってきたところでございます。今後は、舗装の仕上げ、区画線や標識、フェンスなどの安全施設工事を行い、駅前交差点の歩道と併せて、4月上旬に供用開始する予定です。
 また、現在、駅東西出入口の愛称を募集しています。締め切りは今月14日となっております。高梁の玄関口にふさわしい愛称となりますよう、皆様からたくさんのご応募をお待ちしています。
 これらの工事で、施設利用者をはじめ近隣の方々には大変ご迷惑とご不便をおかけしています。事業完了までの間、ご理解とご協力を賜りますようよろしくお願い申しあげます。

 次に、旧吹屋小学校校舎保存修理工事の進捗状況でございます。
 今年度は、仮設工事の足場設置等や解体工事の屋根解体と建具の取外しなどを実施することとしております。また、本館、東校舎、西校舎など5棟の外周に外部足場を設置した後、工事期間中建物全体を雨風から保護するために、素屋根という覆いを架設します。この外部足場の設置を進めている状況をご覧いただくため、3月5日と26日のいずれも土曜日に保存修理現場の公開を行うこととしています。
 今後も、機会を捉えながら修理現場の公開を考えており、文化財の保存・修理を広く知っていただくことで、文化財保護に対するご理解を深めていただくよう努めて参ります。

 本年1月からスタートしました社会保障・税番号制度、いわゆるマイナンバー制度でございますが、個人番号カードの交付につきましては、現在、本庁・市民課と各地域局で交付事務を行っております。
 2月15日現在で、個人番号カードの交付を申請されている方は1,408名で、その内、既にカードの交付を受けている方は74名でございます。
 現在、全国的に申請が集中しており、申請からカード交付までに3ヵ月程度かかっている状況でございます。
 速やかな交付事務はもとより、個人情報保護の観点から、取り扱いにつきましては、管理規程等に基づき適切な事務を進めておりますので、よろしくお願いいたします。
 以上、諸般の報告とさせていただきます。 

 市政に取り組む所信の一端を述べさせていただきます。
 今年は、私にとりまして2期目の任期の最終年となります。平成22年に「ひと・まち・自然にやさしい高梁」という都市像を掲げた高梁市新総合計画を策定し、基本理念及び基本方針に基づき様々な施策を展開してまいりました。土づくりから始め、種をまき、芽吹いたいくつもの事業を育て、収穫したもの、さらに大きく育っているものなど多種に及ぶ事業が7年を経過し、成長を続けまた、新たな芽も出てきています。今後も計画の目標年度である平成31年度を目指して、さらに改良を加えながら育てていかなければならない、そう強く考えているところであります。

 さて、昨年10月に行われました国勢調査の速報値が1月29日に発表され、本市の人口は、32,091人となりました。これは、前回、平成22年の34,963人から2,872人、率にして8.2%減少したことになります。この5年間において社会的要因による人口減少が大幅に鈍化してきたものの、自然減による影響幅が大きくなったことが特徴といえます。今後もこうした傾向は続くものと思われます。
 本市の人口ビジョンでは、このままの状態が続けば24年後の2040年の人口は、21,000人を切ると予測しています。このため、目指すべき将来人口の中期目標を掲げた「高梁市まち・ひと・しごと総合戦略」を本年1月に策定し、人口減少時代への積極的な対応を図ることとしました。平成28年度は「地方創生・総合戦略」の実質初年度であり、本市の将来を展望し、誰もが住み続け、元気あふれるまち高梁を創っていく重要な年でもあります。

 そこで、ごく小規模ではございますが、市役所の組織・機構改革を行います。
 まず、定住施策をより重層かつ横断的に推進するとともに、この戦略で定めた施策を全庁的に着実に実行していくために、市長直轄組織として「総合戦略課」を新設します。これにより、事業調整課は廃止し、これまで同課が担当していた複合施設建設など主要事業の推進・調整は総合戦略課が引き継ぎます。
 次に、保険課を分離し、「介護保険課」と「医療連携課」を新設します。これは、介護保険制度の拡充に迅速に対応していくため、介護保険係と地域包括支援係を独立させ「介護保険課」に。一方「医療連携課」は、健康保険係と連携推進係の業務に加え、国が進める地域医療連携の考え方とは別に、本市のあるべき医療体制等、市民の皆さんに安心を与える体制を構築するため、県や市医師会、市内医療機関との連携業務を担当するものでございます。なお、この事業は国内でも前例のないものでありますが、全力で取り組んでまいります。
 また、これまで、へき地診療所として指定管理運営していた備中診療所と平川診療所を、成羽病院の付属診療所として運営いたします。
 課名の変更では、対外的に「観光・高梁」のイメージアップを図るために、現在の産業振興課を「産業観光課」に。また、市民生活部の「定住対策課」を「住もうよ高梁推進課」に改め、係名も現在の「定住推進係」から「田舎暮らし推進係」とします。これは、移住希望者等に対してイメージし易く親しみやすいものへと考えたところでございます。なお、担当する業務内容等はいずれもこれまでどおりでございます。

 それでは、新年度における取り組みにつきまして、総合戦略に定めた5つの基本目標を中心に申し述べたいと思います。

 まず、「市内で働き続けることのできる雇用環境を創出する」ことであります。本市の人口移動の状況について見ますと、進学や就職に伴う若年層の転出が多く、反対に若者のUターンは多くありません。これは、大学等で学んだ若い人が市内に居住しながら勤務できる企業が十分立地できていない、あるいは活躍できる職種が少ないためと思われます。
 新規学卒者の地元就職を促進するためにも、企業誘致や「起業」による労働者の雇用の場の確保を図る必要があります。新年度においては、市内企業に就職した場合、奨学金返還の実質免除を行うための「高梁市未来人材育成基金」を企業と協力して創設します。
 企業の誘致や事業拡張に伴う雇用の拡大を図るため、現在進めている有漢企業団地の造成をはじめ、玉川団地及び成羽町佐原地区の企業団地を拡張・整備します。また、新しい産業創出のために調査研究費及び製品開発、販路拡大のための支援などを新たに行っていきます。
 本市の基幹産業である農業につきましては、特産品であるぶどうやトマト、桃など生産とブランド化を一層進めるために施設の整備助成を行うとともに、担い手対策として、新たな農地を整備し、新規就農者の確保を積極的に進めて参ります。さらに、高齢者や障害者でも栽培が比較的容易で軽量作物である薬用作物の産地化を促進させるため初期投資費用の助成を行っていきます。
 3年前から受け入れています地域おこし協力隊員もすでに2名は独立して起業するなど地域に根差した活動を行っております。引き続きこうした外部の人材を受け入れることで、まちの活性化を図っていきます。

 2つ目は「市内へ移住する人の流れを拡大する」ことであります。
 移住・定住施策では、これまで行ってきた様々な施策の効果が少しずつ現れてきており、平成23年から平成27年までの社会的要因による人口減少は年平均50人程度と縮減傾向にあります。総合戦略では、平成31年に転入・転出の差±0人としており、この達成に向け取り組んでまいります。
 本市には吉備国際大学という総合大学があり、これは本市にとって大きな強みであります。順正高等看護福祉専門学校を含めた高梁キャンパスでは2,200人を超える学生が学んでおり、その経済効果はもとより、まちの賑わいには欠かせない存在となっており、学生を確保するための広報宣伝助成や入学奨励金など限られた予算の中でより効果を発揮できる柔軟な対応をとってまいります。また、現在の市内在住学生1,400人を維持していきます。
 また、備中松山城や重要伝統的建造物群保存地区である吹屋地区のように恵まれた地域資源があることの強みを生かすことで、国内外から新たな人を呼び込み「まち」の賑わいを創出します。すでに「天空の山城」としてかつてない数の観光客が本市を訪れています。さらにマスコミでも多々取り上げられており、全国的な知名度も高まってきています。そして、デスティネーションキャンペーンも4月からはじまるというこのタイミングを逃してはなりません。乗合タクシーや登城バス運行などの充実、さらに、行楽シーズンの休日など交通渋滞が予想される期間は、新たに備中高梁駅から城見橋公園まで期間限定の路線バスを運行し、雲海展望台の整備をはじめ観光協会など関係団体とも連携をとりながらスムーズな受け入れと高梁ならではのおもてなしに心がけ、リピーターの確保に努めていきます。トイレのまちづくりでは、平成28年度は宇治地域の観光トイレ整備を行います。
 吹屋地区については、継続事業である旧吹屋小学校保存整備工事や古民家を活用した新たな取り組みなど観光施設整備や歴史的町並みの景観維持に努めていきます。
 UIJターン者を確保するために、引き続き分譲宅地、若者向け住宅の建設、住宅新築助成、空き家活用促進助成、新婚世帯家賃助成など継続して実施してまいります。合わせて、関西、関東地方で開かれる移住相談会などに、高梁市の移住コンシェルジュとともに積極的に参加し、高梁の魅力をPRし、移住者等の確保に努めていきます。

 3つ目は「若い世代の結婚・出産・子育ての希望をかなえる」ことであります。
 本市の平均初婚年齢は、男性は平成24年には30.9歳、女性は28.9歳と晩婚化の傾向にあります。また、合計特殊出生率は、平成25年には1.31と全国平均の1.43、岡山県平均の1.49を下回っており、出生数も平成18年の256人から平成24年の169人と減少しています。一方で毎年約570人の方が亡くなられており、その差400人が自然減となっています。
 国においては、50年後も人口1億人を維持するため「希望出生率1.8」の実現を目指しています。本市においては、2040年に2.07を達成することで、人口の自然減に歯止をかけていくこととしています。総合戦略では平成31年の目標値を1.47と設定しており、目標を達成するためにも、安心して結婚・出産・子育てができる環境整備が必要です。縁結びサポーター制度・縁結び活動奨励金制度の周知を図り、企業や団体間での独身男女交流イベントの開催を促進するなど若者の結婚を推進します。
 妊娠期から出産まで切れ目のない対応することで妊婦さんの不安を取り除きます。保健師による指導や専門医によるマタニティ講座などを開催するとともに、高梁市でお産ができる環境づくりについて、関係方面を通じて働きかけを行っていきます。
 母子保健健康診査事業では、新たに発達相談総合検診を加えるなど妊婦健康診査、乳幼児健診の充実を図ります。また、不妊症・不育症対策についても引き続き支援を行っていきます。
 保育料につきましては、国や県の制度を導入することで低所得者を対象とした第3子以降の無償化など子育て家庭の経済的負担の軽減を図ってまいります。妊産婦医療費助成、0歳から18歳までの子ども医療費無料化、昨年度大幅に拡充しました出産祝い金なども継続していきます。
 「仕事をしながら子育てができる」そういった社会にしなければなりません。保護者が就労している場合において子供が病後で自宅での保育が困難な場合、一時的に保育する病後児保育事業に新たに取り組みます。
 学童保育も新たに福地小学校に開設します。また、保護者の要望や地域の実情に応じて施設の拡張、統合などを行い放課後児童の健全育成に努めてまいります。
 子育てを積極的に応援してくれる企業を支援するワークライフバランス推進事業の拡充、また、子育て全般の相談事業、育児・家事等の支援を必要とする産じょく期の母親のいる世帯へのホームヘルパーの派遣など精神的・肉体的負担の軽減を図ります。
 結婚し両親などと同居する家族を応援します。同居に際し住宅の改修などされる場合の新婚同居家庭の住宅リフォーム助成を新たに行います。
 旧成羽高等学校跡地に建設する認定こども園については、平成31年4月の開園を目指しており、新年度から校舎の解体、敷地造成に着手します。

 4つ目は「安心なくらしを守り、地域と地域を連携する」ことであります。
 高齢者が生涯現役として地域や社会と関わりを持ちながら健康で元気に生き生きとして暮らしていくことができる長寿社会の構築を目指します。そのためにも愛育委員、栄養委員さんの協力をいただきながら検診、健康教育、食育などの保健事業を展開していきます。吉備国際大学と連携し、運動科学に基づき生活習慣病予防の指導、中高年健康スポーツ教室の開催や、高齢者を対象に運動指導に重点をおいた介護予防を実施します。また、病気の早期発見、早期治療のための健康診査、特にがん検診では新たに大腸がん、肺がん検診を追加し健診受診体制の充実を図ります。また、こうした健康受診データなど蓄積された健康情報を地域保健活動に活用していくための健康管理システムの更新を行います。
 地域医療対策では、備中町診療所及び平川診療所を成羽病院付属診療所として、これまでの指定管理から直営による診療を行っていきます。効率的かつ高度な医療を行うための電子カルテの導入や医療機器の更新、成羽病院医師住宅の改築も引き続き実施してまいります。医師、看護師の養成・確保をするための奨学金貸付制度も有効的活用を図り、資格取得と就学支援を行ってまいります。
 過疎化や少子化、核家族化の著しい進行によりコミュニティ維持への危機感が増しております。その最も基礎的なコミュニティとなる町内会は、市内に698町内会がありますが、そのうち6割が10戸以下、さらに全体の11%にあたる79町内会が5戸以下の戸数で形成されており、高齢化と相まって従来から行っている町内活動ができにくい状況にあります。このため、地域資源の管理や生活環境の保全などを各集落が担いつつ、福祉や防災、交流活動など近隣集落と連携することで機能強化を図る新たな仕組みと支援策を構築してまいります。
 また、一方では情報発信、交流の要である備中高梁駅を拠点とした中心市街地の機能の充実を図っていかなくてはなりません。市街地の回遊性を高め、賑わいを創出していきます。将来を見据え、持続可能な都市経営を可能にするための「立地適正化計画」を策定します。
 また、首都圏在住の50、60歳代で、「元気なうちに自らのスキルなど活かしながら地方で残りの人生を過ごしたい」といった志向の高まりがあり、国も日本版CCRC構想を打ち出しております。本市としてもそうした研究を行ってまいりたいと考えています。

 5つ目は「心豊かな人材を育成する」ことであります。
 活力ある高梁市を築いていくのは「人」であり、「人づくり」の根幹をなす政策である教育は非常に重要な課題であり、本市としては特に力を入れていきたいと考えています。
 未来を担う人づくりを進めていくためには、就学前教育の充実や就学前から小・中・高・大までの連携促進による教育の質の向上が大切であり、学校教育では、学力向上を図るための市独自の標準学力テストの実施や研究校の指定、学級編成の弾力化、学級担任を補助するクラスサポート事業、特別支援員を配置しての特別支援教育の推進などの強化・継続をしてまいります。不登校傾向にある児童や家庭に対して教職員と協力をしながら登校支援や教室・別室での学習支援など行う支援員を増員します。また、本市の偉人や歴史を学ぶことを通じてふるさと高梁を誇りに思い、ふるさとをきちんと言葉で語ることができる人材を育成することが求められています。特に山田方谷の思想を学ぶとともにその偉業を全国に発信していきます。また、新しくなった備中高梁駅西口に市内外のご協力をいただきながら方谷さんの銅像を設置することとします。
 高校生、大学生を対象とした奨学金制度は、卒業後市内居住など一定の条件を満たせば返還金を免除する制度の改正を、昨年6月に行い、平成28年度の受付から適用することとしております。
 本年12月の開館を目指しています新図書館につきましては、市民の自発的な学習要求に応える図書館として、午前9時から午後9時までの365日開館の図書館として指定管理による運営としたいと考えています。また、だれもが入りやすく快適に長時間、心地よく過ごせる空間を提供するなど生涯学習の拠点としての図書館サービスの提供に努めていきます。
 備中松山城跡整備、吹屋小学校校舎保存修理工事、吹屋伝建家屋保存など高梁を代表する文化財や景観の保存事業についても継続して取り組みます。
 市の伝統芸能である渡り拍子につきましては、備中町平川・鋤崎八幡神社の秋祭りが、2月5日、本市としては初めての岡山県重要無形民俗文化財に指定されました。国指定の備中神楽をはじめこうした郷土芸能を保存・伝承してくための支援を引き続き行ってまいります。
 スポーツ振興につきましては、本市では子どもから高齢者に至るまで多種目にわたるスポーツ競技が盛んに行われております。子供たちや市内スポーツ団体等の競技力向上を図るためも、県内に活動拠点を置くトップリーグ所属の競技及び県内で開催される国際大会を観戦する費用の一部を補助する制度を新たに設けます。また、トップアスリートを招いた夢の教室「ユメセン」も引き続き行います。また、なでしこリーグ一部昇格を目指すFC吉備国際大学シャルム、2年連続全国大会出場を果たした日新高校女子サッカー部の活躍も期待されるところで、市としてもできる限りの支援と市民みなさんと共に応援をしていきたいと思っています。
 さらに健康増進やスポーツによる交流を図ることができ年々参加者も増加しているヒルクライムレース、マラソン大会なども引き続き行って参ります。
 スポーツ施設では、神原スポーツ公園の多目的グラウンドの天然芝張替、観客席整備工事、クラブハウスの設計など公式のサッカー場として利用できるよう整備していきます。また、有漢スポーツパーク内のグラウンドゴルフ場整備や旧成羽高校体育館の整備、旧川上中学校の跡地整備や備中町の長谷グラウンドの機能向上化などを行っていきます。

 総合戦略に掲げた主な事業としては以上のとおりでございますが、その他にも市政の課題解決に向けて積極的に各種事業に取り組むこととしています。

 公共交通につきましては、「高梁市地域公共交通網形成計画」に基づき、交通空白地の解消と併せ、市全体の将来の交通体系の在り方を検討してまいります。
 国際交流については、トロイ市の受入及び中学生による交流、異文化交流フェスタなど関係団体と取り組んでいきます。また、新たに国際交流員を配置し、インバウンド観光を含めた幅広い国際交流を推進していきます。
 市民への防災意識啓発や関係団体との協力関係を強めるとともに、地域における自主防災組織の結成を促進し、組織的活動や地域防災リーダーの育成支援を行い、地域防災力の強化を図ります。また、防災情報の伝達手段拡充のため、新たに防災ラジオの導入、さらにはケーブル切断等による伝達障害を回避するために高梁西部地区のケーブル網のバイパス化など行ってまいります。

 続きまして、平成28年度予算編成の基本的な考え方について申し上げます。

 まず、我が国の経済の状況ですが、「大胆な金融政策」「民間投資を喚起する成長戦略」などを柱とする経済財政政策の推進により、雇用・所得環境が改善し、原油価格の低下等により交易条件が改善する中で、緩やかな回復基調が続いております。ただ、中国をはじめとする新興国経済の景気減速の影響もあり、輸出が弱含み、個人消費や民間設備投資の回復の遅れが見られるところもあるようです。
 一方、我が国の財政は、平成27年度予算では公債依存度が38.3%にも及び、国・地方合わせた長期債務残高が主要先進国の中でも最も悪くなるのではないかとも言われるなど極めて深刻な状況にあります。
 本市の財政状況でございますが、歳入面では、景気の回復基調による地方譲与税や地方消費税交付金の増加が見込まれるものの、地方交付税については合併から10年間の特例措置が終了し、平成32年度の一本算定に向け段階的な縮減がすでにはじまっていることから、前年度に続き減額を見込んでおり一般財源総額の確保は厳しさを増しています。
 また、歳出面では、少子高齢化の進行等に伴う社会保障費の伸びや公共施設の更新経費の増額が見込まれることから、財政状況は引き続き厳しい状況にあります。
 このような状況の中ではありますが、平成28年度予算編成にあたりましては、地方創生への取り組みを一層強化し、地域経済の活性化、本市の魅力の創造・発信や子育て支援をはじめとする社会保障の充実に重点を置くとともに、観光やスポーツによる交流人口の増加を目指す取り組みなど総合計画に掲げる「住んでよかった、住み続けたいまち高梁」の実現を引き続き目指すこととしています。そして、誰もが元気で暮らせるまちの実現のため、国の交付金などの財政措置を最大限活用し、後年度の財政への影響にも十分配慮した上で予算編成を行ってきたところでございます。

 平成28年度一般会計予算は、前年度に比べ10億3千万円、率にして4.0%の減の245億2千万円となりました。これは、新庁舎関連事業、複合施設、旧吹屋小学校、都市街路整備などの投資的経費の減、前年度行った繰替運用完了に伴う地域振興基金積立金の皆減、人件費、公債費の減などが大きな要因であります。
 また、特別会計予算は、全体で前年度に比べ9,315万円、率にして0.6%増の160億4,390万円となりました。
 これは、地域開発事業特別会計の企業用地造成費の増、成羽病院事業会計の医師住宅建設費、養護老人ホーム統合改築事業費などが主な増加要因となっております。
 なお、一般会計と特別会計16会計を加えた総予算額は、405億6,390万円で、前年度に比べ、9億3,685万円、率にして2.3%の減となっています。

 それでは歳入からもう少し詳しくご説明申し上げます。
 市税は固定資産税の増額を見込むものの、法人市民税の税率引き下げによる影響などから、前年度に比べ市税全体で0.3%、970万円減の38億589万円を見込みました。
 地方交付税は、国が示す地方財政計画及び合併特例措置の段階的縮小を考慮し、前年度に比べ7.5%減、8億円減の98億円を見込みました。
 地方消費税交付金は、地方財政計画により10.0%、5,760万円増の6億3,080万円を、国庫支出金は、道路改良事業に対する増加はあるものの、街路整備や複合施設などが前年度より減少することから11.6%、2億9,347万円減の22億3,275万円を見込みました。
 市債は、神原スポーツ公園などの体育施設や防災ラジオの整備、道路改良事業の充当が増額となるものの、先ほどの国庫支出金で申し上げたような事業への充当が減少することにより、8.4%、3億960万円減の33億8,820万円を見込みました。

 続きまして歳出ですが、ほとんどの項目で減額となっておりますが、そうした中、増額となっているものは、扶助費が25億2,293万円で3.7%、8,912万円の増。これは、障害福祉サービス給付費、生活保護扶助費などの増加によるものです。
 物件費は36億7,900万円で、1.8%、6,452万円の増。主なものとして新図書館整備で空間設計、移転費など約4億円、指定管理料4か月分5,300万円が含まれています。
 繰出金は28億70万円で8.4%、2億1,737万円の増。これは、企業用地造成を行うため地域開発事業特別会計への繰出金が増加したものです。
 次に減額要因としまして、普通建設事業費42億7,800万円。これは、昨年度と比較して複合施設、街路事業、旧吹屋小学校などの事業費が減少し、全体では、11.8%・5億7,451万円の減となっております。なお、普通建設事業費の単独分につきましては、2割近く増加しています。主な事業といたしまして、神原スポーツ公園改修費2億7,317万円、救助工作車の更新1億2,460万円、防災ラジオの整備1億1,157万円、旧川上中学校跡地の整備で解校舎解体など1億114万円などであります。
 積立金は95.8%の減となっておりますが、これは、昨年度繰替え運用解消のために地域振興基金積立金が皆減となっております。
 補助費等は、27億6,713万円、これは7.8%、2億3,532万円の減となっています。中山間直接支払交付金が協定数の減少に伴い3,800万円余りの減、高齢者及び子育て世帯への臨時福祉給付金などが減額となっております。
 義務的経費であります人件費は、共済組合及び退職手当組合負担金の減額によるものでございます。
 以上、平成28年度当初予算の考え方、また概要について述べさせていただきました。