備中松山城跡は、市街地の北側にそびえ、大松山・天神の丸・小松山・前山の四つの峰からなる臥牛山に築かれた山城である。
　備中松山城の歴史は延応２年（1240）有漢郷の地頭秋庭三郎重信が大松山に城を築いたことに始まる。その後、元弘の乱（1331）の頃には、備中守護職となった高橋宗康が、大松山のほかに小松山にも築城しており、この頃から徐々に城の範囲が拡大していったことが伺い知れる。また備中地域において、最も大きな戦いである「備中兵乱」時には、臥牛山には21の砦が築かれており、臥牛山全域まで城の範囲が拡大している。
　その後、小松山が近世城郭に整備され、天和3年（1683）に水谷勝宗による大改修が行われ、現在の姿になったと考えられている。
　史跡に指定されているのは、城内の８か所の遺構であり、北から「切通及び番所跡」「大池」「大松山城跡」「天神の丸跡」「相畑城戸跡」「小松山城跡」「中太鼓櫓跡」「下太鼓の丸跡」である。中世の城郭とされるのが小松山城跡より北側にある「大松山城跡」「天神の丸跡」「相畑城戸跡」であり、曲輪（くるわ）や堀切等が明瞭に残っている。また小松山城跡を中心とした近世城郭には、石垣をはじめ櫓跡の礎石などをみることができる。