○高梁市警防規程

平成21年9月17日

訓令第27号

(趣旨)

第1条 この訓令は、消防組織法(昭和22年法律第226号。以下「組織法」という。)及び消防法(昭和23年法律第186号。以下「法」という。)に基づき、災害を警戒し、及び災害による被害の軽減を図るために行う警防業務及び警防活動について必要な事項を定めるものとする。

(定義)

第2条 この訓令において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。

(1) 災害 火災、水災、震災、救助活動又は救急活動を必要とする事故で消防機関の活動の対象となる事象をいう。

(2) 警防活動 災害が発生した場合の被害を最小限度にとどめるため、高梁市消防本部及び高梁市消防団が行う活動及びそれに備える体制をいう。

(3) 救助活動 救助するために行う人命の安全確認、検索、救出、避難誘導等の活動をいう。

(4) 救急活動 要救護者に必要な応急手当てを施しながら、医療機関その他の場所に緊急に搬送する活動をいう。

(5) 消防隊 消防機械器具を装備した消防職員又は消防団員により編成された隊をいう。

(6) 残留消防隊 消防署内の消防隊が現場出動した後、消防署に残留又は命により非番招集等により後発災害等に備えて待機する消防隊をいう。

(7) 指令 災害を覚知した場合に通信指令室において警防活動に関する指示命令を発する通信をいう。

2 管轄区域外の災害出動については、次のとおりとする。

(1) 消防に関し、消防相互応援協定が締結されているものについては、当該協定書に基づき出動する。

(2) 前号以外の地域の災害については、消防長の特命により出動するものとする。

3 消防団の出動については、次のとおりとする。

(1) 火災発生地を管轄する分団の出動計画に基づいて出動するものとする。

(2) 火災発生地の隣接分団は、あらかじめ定められた相互応援体制により出動するものとする。

(3) 他市町の火災の場合は、市長の指示により出動するものとする。

(4) 消防団の消防隊は、統括指揮者の指揮宣言までは、上席の消防団員のもと火災防ぎょにあたる。

(隊編成の区分)

第4条 消防署の消防隊は、次の各号に定めるところにより編成する。

(1) 分隊 消防司令補又は消防士長(以下「分隊長」という。)の指揮する1車両の消防隊をいう。

(2) 小隊 消防司令又は消防司令補(以下「小隊長」という。)の指揮する2分隊以上からなる1箇の消防隊をいう。

(3) 中隊 消防司令長又は消防司令(以下「中隊長」という。)の指揮する2小隊以上からなる1箇の消防隊をいう。

(4) 部隊 消防長(以下「部隊長」という。)の指揮する2中隊以上からなる1箇の消防隊をいう。

(5) 特車隊 はしご車、化学車、救助工作車等で出動する分隊をいう。

(6) 支援隊 警防活動、救助活動、救急活動等を行う主力隊の、支援を目的に活動する隊

2 消防団の消防隊は、分団長(代行者を含む。)の指揮する分団をもって1箇の消防隊とする。ただし、1つの分団において、消防ポンプが2台以上あるときは、その台数に応じて消防隊を編成することができる。

3 前2項に規定する消防隊の呼称は、次の各号の定めるところによる。

(1) 第1項に規定する消防隊の名称は各隊長の姓を用いることを原則とする。

(2) 第2項に規定する消防隊については、その所属する分団名を付して呼称するものとする。ただし、消防隊が2以上あるときは、分団名の次に所属部名を付して呼称するものとする。

(消防隊の編成)

第5条 消防署長(以下「署長」という。)は、毎日消防隊の編成を行い、その任務分担を隊員に命じなければならない。

2 署長は、前項に規定する消防隊の編成について人員機械等に著しい障害を生じ、警防活動上支障があると認められるときは、直ちに障害排除に務めるとともに、消防長に報告し、指示を受けなければならない。

(警防調査)

第6条 消防長は、地理水利及び建物状況を定期的に調査し、災害発生時に迅速的確に活動できるよう警防調査をしなければならない。

(情報収集の指示)

第7条 消防長は、必要があるときは警防課長に警防に関する情報の収集を指示するものとする。

(警防計画)

第8条 消防長は、警防計画を策定し、警防体制の徹底を期さなければならない。

2 警防計画は、次の各号に区分して作成しなければならない。

(1) 火災危険地域警防計画

(2) 特殊対象物警防計画

(3) 通信指令体制警防計画

(4) 消防隊出動に関する警防計画

(5) 消防相互応援・受援体制の警防計画

(6) 多数傷病者対策警防計画

(7) その他社会情勢等により生じた緊急事態に対応する警防計画

(8) その他の警防計画

(警防計画の意義)

第9条 前条第2項各号の警防計画の意義は、次のとおりとする。

(1) 火災危険地域は次の区域とする。

 木造建築物が密集し、当該区域の延焼危険及び人命危険が他に比較して著しく大である地域

 道路が狭あいで、警防活動が困難な地域

 建築物や線路等で区画され、進入路が限られる等警防活動が困難な地域

 消防水利が特に不足する地域

(2) 特殊対象物は次の対象物とする。

 災害による人的、物的被害が他の対象物と比較して著しく大きい対象物

 社会的な価値が大きく特別な保護対策を必要とする対象物

 延焼拡大が迅速であって、初期から相当数の消防力を投入する必要があり、通常の防ぎょ手段によっては防ぎょが困難な対象物

 消防活動に支障を生ずる物質を保有し、特殊な資機材の活用又は特殊な消火手段を必要とする対象物

 その他消防長が必要と認めるもの

(3) 通信指令体制警防計画は次の事項について計画するものとする。

 災害時の情報統制に関すること。

 指令業務の円滑な実施に関すること。

 警防活動の情報提供等連絡先に関すること。

 その他消防長が必要と認めるもの

(4) 消防隊出動に関する警防計画は次の事項について計画するものとする。

 火災出動に関する出動車両、活動区分及び隊員に関すること。

 救助活動に関する出動車両、活動区分及び隊員に関すること。

 救急活動に関する出動車両、活動区分及び隊員に関すること。

 その他警防活動において消防隊が活動するため、あらかじめ定めなければならないこと。

 その他消防長が必要と認めるもの

(5) 消防相互応援・受援体制の警防計画は次の事項について計画するものとする。

 消防相互応援協定に基づく応援と受援に関すること。

 緊急消防援助隊の応援と受援に関すること。

 その他消防長が必要と認めるもの

(6) 多数傷病者対策警防計画は次の事項について計画するものとする。

 救急活動において2名以上の要救護者が発生した事故等の出動車両、活動区分及び隊員に関すること。

 医療機関への搬送に関すること。

 その他消防長が必要と認めるもの

(7) その他社会情勢等により生じた緊急事態に対応する警防計画は次の事項について計画するものとする。

 警防活動、救助活動、救急活動において隊員の安全について事前に計画を必要とするもの

 想定外の災害が発生した場合に事後対策等が必要なもの

 その他消防長が必要と認めるもの

(8) その他の警防計画は、前各号に定めるもののほか、警防計画を必要とするものについて計画するものとする。

(警防計画の策定)

第10条 警防計画は、次の各号に掲げる事項を調査のうえ総合的に考察し、現実に即した計画をたてなければならない。

(1) 地理水利の状況

(2) 建物の粗密及び構造等の状況

(3) 特殊建物の所在及び状況

(4) 署所からの距離

(5) 警防活動の難易

(6) 警防計画の見直し時期と見直し条件

(7) その他警防活動上の特殊事情

2 警防計画は、次の各号に掲げる事項を考慮し策定するものとする。

(1) 出動消防隊の数及び種別

(2) 署からの順路、距離及び放水開始までの所要時間

(3) 各隊の到着順序及び水利部署

(4) 各隊の進入部署

(5) 使用放水口数及び所要ホース数

(6) 大量可燃物その他危険物の所在位置、数量等

(7) 避難予定地及び誘導方向並びに人的危険発生のおそれのある箇所については人命救助の方法

(8) 前各号に定めるもののほか、警防活動上注意を要する事項

(警防計画の見直し)

第11条 消防長は、定期に警防計画を見直すとともに、第6条に定める警防調査、第7条による情報収集又は状況の変化などを勘案し、必要と認めるときは随時に警防計画を見直さなければならない。

(火災防ぎょ体制)

第12条 防ぎょ体制は、次のとおりとする。

(1) 第1次防ぎょ体制 消防署の当務の消防隊(第1出動隊)のみで防ぎょに当たる体制をいう。

(2) 第2次防ぎょ体制 第1出動隊のみでは、防ぎょが困難なとき残留消防隊(第2出動隊)を増強出動させ防ぎょに当たる体制をいう。

(3) 第3次防ぎょ体制 第2次防ぎょ体制で防ぎょが困難なとき又は当初から火災の拡大が急速で大火となる危険性があるとき、署長の命により更に消防隊(第3出動隊)を増強し防ぎょに当たる体制をいう。

(4) 特別防ぎょ体制 火災の状況により、消防長の特命により出動(特命出動隊)し防ぎょに当たる体制をいう。

(出動)

第13条 消防隊は、通信指令室からの指令を受けて迅速に出動しなければならない。

(残留消防隊)

第14条 署長は、後発火災等に備えるため非番職員等を招集し、残留消防隊として待機させるものとする。

2 残留消防隊は、出場消防隊が帰署して次の火災等に対応する出動準備が完了し、解散の指示のあるまで待機するものとする。

(残留消防隊の指揮)

第15条 残留消防隊の指揮は、残留隊の職員のうち、上席者が指揮するものとする。

(現場指揮)

第16条 災害現場における指揮は、次によるものとする。

(1) 部隊の指揮者は、部隊長とする。ただし、部隊長が不在のときは中隊長の内、上席者が代行する。

(2) 中隊の指揮者は、中隊長とする。ただし、中隊長が不在のときは小隊長の内、上席者が代行する。

(3) 小隊の指揮者は、小隊長とする。ただし、小隊長が不在のときは分隊長の内、上席者が代行する。

(4) 分隊の指揮者は、分隊長とする。ただし、分隊長が不在のときは、隊員の上席者とする。

(5) 消防長は、災害の状況等により必要と認めるときは、全隊の指揮をとる。

(指揮宣言)

第17条 現場において統括指揮を行う者を現場指揮者という。

2 現場指揮者は、指揮権の所在を明らかにするため、指揮宣言を行わなければならない。

3 指揮権は、指揮宣言をもって移行する。

(現場指揮本部の設置)

第18条 第1次防ぎょ体制における隊長は、火災の規模、その他災害の状況に応じて現場指揮本部(以下「現場本部」という。)を設置するものとし、次の各号に掲げる事項を処理するものとする。

(1) 出動各隊の統括指揮に関すること。

(2) 火災及び災害の状況把握、防ぎょ状況及び水利統制に関すること。

(3) 人的危険の有無及び死傷者の把握に関すること。

(4) 関係機関等への連絡に関すること。

(5) 現場広報及び無線統制に関すること。

(6) その他必要事項。

2 現場本部を設置したときは、各消防隊はその指揮下に入り連絡を密にしなければならない。

3 現場本部は、その所在を明らかにするため指揮旗(様式第1号)を掲げるものとする。

4 現場本部に本部長を置き、消防長がその職務を行う。ただし、消防長に事故あるときは、次席階級者がその職務を代行するものとする。

5 現場本部には、火災規模に応じて必要な組織を設けることができるものとし、本部長が決定する。

(火災防ぎょの原則)

第19条 火災防ぎょ上、次の各号に掲げる事項に留意して万全な防ぎょにあたらなければならない。

(1) 人命救助を最優先すること。

(2) 延焼防止を主とすること。

(3) 先着隊は、延焼危険大な方面に部署すること。

(4) 先着隊は直近水利に部署し、後着隊は先着隊に支障を与えないように水利部署すること。

(5) 放水は火勢の状況により、筒先圧力の増減を図り必要最小限にとどめ、水損被害の軽減に努めること。

(6) 後着隊は各隊間の連携を密にし、各方面に対する延焼危険の大小を考慮し、適切なる包囲隊形に部署すること。

(7) ホース延長は、屈曲その他に留意し、余裕を取り移動注水が可能とすること。

(8) 注水は燃焼実体に対して行い、天井裏、壁間及び床下等の火勢の潜入する箇所は、局部破壊を行い有効な注水に務めること。

(鎮火決定)

第20条 現場指揮者は、延焼阻止、鎮圧及び鎮火を決定したときは内容を通信指令室に連絡しなければならない。

2 現場指揮者は、鎮火を確認した後、残火処理及び警戒を必要とするときは、出動隊の一部をこれにあたらせるものとする。また、再燃監視の必要があれば関係者に対して説示書(様式第2号)を交付するものとする。

(現場引揚げ)

第21条 機械器具の撤収、現場の引揚げは現場指揮者の命令によるものとし、後発の災害に備えるため迅速に行わなければならない。

2 各隊長は、引揚げに際し、人員及び機械器具等の現場点検を行い異常の有無を現場指揮者に報告しなければならない。

(監視、警戒等の措置)

第22条 現場指揮者は、火災警戒区域を設定したときには消防職員又は消防団員に監視及び警戒に当たらせるとともに警察署長に協力を求めることができる。

2 現場指揮者は、消防警戒区域を設定したときには消防職員又は消防団員に監視及び警戒に当たらせるとともに、安全確保のための現場広報に努めなければならない。

(事後検討会)

第23条 消防長は、必要に応じて災害事象の検討会を開き、過去の災害に対する検証と将来における災害対策及び防ぎょ活動の検証を行い、併せて全職員に周知するものとする。

(消防訓練の種別)

第24条 消防訓練(以下「訓練」という。)は、次に掲げるとおりとする。

(1) 基本訓練は、監督者が指定した者が月例計画で定め、おおむね次に掲げる事項について実施する訓練とする。

 隊員個々の基本動作

 消防ポンプ操法、応用操法、ホース延長法、筒先移動法、中継法及び人命救助法

 特殊車両の基本操法及び応用操法

 各種機器の操作及び運用

 その他警防活動上必要な訓練

(2) 図上訓練は、監督者が指定した者が月例計画で定め、各種災害の防ぎょ方法及び人命救助活動の方法等を図上で実施する訓練とする。

(3) 現地訓練は、警防活動上危険な消防対象物又は異常事象、その他特殊な事態に対処し、若しくは広報のため計画的に実施する訓練とする。

(4) 特別訓練は、消防長又は署長が、警防対策上特に重要な火災危険地域又は特殊対象物等を対象に他の機関と合同で実施する訓練とする。

(訓練実施上の留意事項)

第25条 前条の訓練を行うときは、実際に即した効果的な計画を立てて実施しなければならない。

2 前項の訓練を行う場合は、事前に消防長の承認を受け、実施しなければならない。

(安全管理)

第26条 訓練を実施する者は、次の各号に留意し、隊員の安全を図らなければならない。

(1) 規律を重んじ、指揮命令系統を明確にするとともに、その保持に努めること。

(2) 精神の安定と健康状況を監視すること。

(3) 資機材の点検整備に努めること。

(4) 高梁市消防職員安全管理規定(平成16年高梁市訓令第66号)に基づき、職員の安全管理に努めなければならない。

(その他)

第27条 この規程に定めるもののほか必要な事項は、消防長が別に定める。

この訓令は、平成21年9月17日から施行する。

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高梁市警防規程

平成21年9月17日 訓令第27号

(平成21年9月17日施行)