ページの先頭です。 本文へ
現在地 トップページ > ようこそ市長室へ > 市長所信(平成27年3月)

市長所信(平成27年3月)

ページID:0014396 印刷用ページを表示する 掲載日:2015年3月5日更新

 みなさんおはようございます。
 3月に入り一日の陽も長くなり、また朝の冷え込みもずいぶん和らいできました。振り返ってみますと今年の冬、年末年始あたりは寒さも厳しかったように思いますが、総じて穏やかな冬だったように感じます。今年は羊年でもありますので、このまま災害のない穏やかな年であることを願っているところであります。
 さて、本日平成27年3月の議会定例会を招集いたしましたところ、議員各位におかれましてはご多用にもかかわりませず、ご参集をいただき、誠にありがとうございます。また、平素は市政全般にわたり、ご理解、ご協力を賜っておりますことに厚くお礼を申しあげます。
 今3月議会に提案をいたしております議案は89件であります。提出議案の説明に先立ちまして、諸般の報告と市政に取り組む所信の一端、また、新年度における施策の概要等について述べさせていただきたいと思います。

 まず、2月15日に法面崩落により全面通行止めとなり、地域の皆様にご不便をおかけしておりました県道新見川上線ですが、昨日4日の午前6時から片側の交互通行で開通したところでございます。県当局並びに関係各位のご努力、ご協力により早期の通行が可能となりましたことに対しまして心から感謝申しあげます。
 現場の状況から、完全復旧までにはしばらく時間がかかると思われますが、安心して通行できるよう早期復旧に向け、引き続き県等にお願いをしていきたいと考えています。

 2月8日、第36回市民健康づくり愛らぶたかはしふれあいマラソンを開催したところ、城下町コース、愛らぶコースなど12部門に市内外から819人の方に出場いただきました。このうち最高齢者は89歳の方、また、遠い所では千葉県からの参加もありました。城下町高梁を親子、家族、グループなど様々な人たちが沿道からの声援を受けながら走り抜け、さわやかな汗を流されていました。
 健康志向の高まりとともに今こういった市民マラソンは各地で盛んに行われておりますが、健康のみならず、まちの魅力、参加者同士のふれあい、市民の声援など様々な要素を含んだ素晴らしいイベントとなっているものと感じており、今後も高梁らしい早春のイベントとして発展することを期待するものでございます。

 かねてから要望のありました国道180号線松山地内、クリーンセンター南側の信号機設置につきましては、押しボタン式信号機が設置されることとなり、3月17日(火)午後4時から運用を開始する予定です。
 この場所は、玉川地域から高梁中学校へ自転車で通学する中学生の通学路にも指定されており、このことによりまして、より安全に登下校ができるものと期待をしているところでございます。
 関連して交通安全につきまして、毎年恒例の「春の交通安全県民運動」が、4月の統一地方選挙の影響で、約1ヵ月遅れの5月11日(月)から20日(水)までの期間で実施される予定です。
 また、本市におきましては、今年に入り交通死亡事故は発生していません。引き続き交通法令順守による安全運転の実施にご理解とご協力をお願いします。

 新庁舎につきましては、平成25年12月から15カ月余りにわたる工事で近隣の方々をはじめ来庁された方々にご迷惑とご不便をおかけしたところでありますが、皆様方のご理解、ご協力、また施工管理者、業者のご努力により、工事も予定通り進めることができ、今月末には完成いたします。
 落成記念式典につきましては、4月4日午前10時から新庁舎市民ホールにおきまして、行政関係者など約180人の方々をお招きして執り行います。また、4月5日、6日は、一般の方の完成見学会を予定しており、車などでお越しいただけない方のために、バスの送迎を計画しておりますので、ご利用いただき、多くの方にご覧いただきたいと思います。
 最終的には5月の連休に引っ越し作業を行い、新庁舎での業務開始は5月7日、木曜日を予定しております。また、6月頃から現在の庁舎解体に取りかかり、駐車場整備等最終的にすべての事業が完了するのは平成28年1月頃を予定しております。

 次に、「JR備中高梁駅周辺整備の進捗状況」についてでございます。
 備中高梁駅の橋上化・バリアフリー化工事及び東西連絡道のエレベーターや階段の付替え工事につきましては、駅舎やホームの階段をはじめ、東西連絡道の階段、エスカレーター、エレベーター等の骨格が完成し、現在、仮囲いの中で仕上げの段階に入っております。多少工程が遅れておりますが、4月には供用開始できるようJR岡山支社をはじめ施工業者とも工程や供用開始日の調整を行っているところです。
 また、駅東側の街路整備につきましても、若干工程が遅れ、駅との同時供用開始は厳しい状況ですが、一日も早い完成を目指して工事を進めており、供用後は、駅東口へのアクセス向上と駅東側の活性化が図られるものと考えております。
 なお、JRダイヤ改正に伴い、3月14日から寝台特急「サンライズ出雲」号がいよいよ備中高梁駅に停車することとなりました。今後交流の一層の活性化が期待されるところであり、多くの方にご利用いただきますようよろしくお願いいたします。

 次に、平成27年度予算案並びに関係諸議案のご審議をお願いするにあたり、市政運営に対する考えを申しあげ、市民並びに市議会の皆様方にご理解とご協力を賜りたいと存じます。
 国におきましては、先頃、経済対策を柱とする平成26年度補正予算が成立し、引き続き、平成27年度予算が審議されています。
 地域経済の下支えを含め、強い経済の実現を通じて、我が国経済を本格的な成長軌道へと移行させ、地方にあっても景気回復を実感できる経済再生と財政の健全化を実現するとともに、地方創生のための取組が実効あるものとなるよう期待しております。
 平成27年度は「高梁市新総合計画・後期基本計画」の初年度であり、本市の将来を展望したまちづくりをスタートさせる重要な年であります。また、合併後10年が経過し、新庁舎の完成や高梁市の玄関口であるJR備中高梁駅及びその周辺も大きく変わろうとしています。
 昨年制定された地方創生法に基づき、本市おいても1月に「高梁市総合戦略推進本部」を立ち上げ、全庁的な推進体制を整えたところです。経済対策の一環として創設された交付金を活用し、消費喚起や地域活性化に資する施策を速やかに実行していくための補正予算の編成や、今後、人口ビジョンを基に地域経済の活性化を図り、市民が夢を持ち、そして安心して暮らしていけることのできる社会となるよう高梁市版の「まち、ひと、しごと総合戦略」を策定していきます。
 そういった点においても平成27年度は、新たな市政の幕開けの年であると考えています。

 定住対策や子育て支援をさらに積極的に進めていかなくてはなりません。
 本年2月5日総務省が発表しました2014年の人口移動報告書では、本市では、転出者が転入者を上回り172人の減少となりました。昨年は75人の転入超過だったことを考えると大変残念なことと思っています。しかし、2011年以降4年間では年平均42人の減と、それ以前の減少数、平均約300人から比較すると大幅に改善してきております。東日本大震災以降、移住先として安全性や暮らしやすさを求める傾向がありますが、本市としては、これまで取り組んできた定住・子育て支援策の効果が徐々に表われはじめているものと考えています。
 定住対策に関し、国の地方創生の考えである地方移住も重要な施策であります。加えて、本市においては、市内居住者が市外に転出することを留まっていただくための施策も併せて進めていく必要があります。先に申しあげましたが、社会的要因による人口の流出は大幅に改善しました。今後もこの流れを止めることの無いようあらゆる施策を講じて対策を進めていく考えであります。
 平成27年度定住施策の新規事業としましては、市外から民間賃貸住宅へ転入する若者世帯に対しての家賃助成、月額1万円を24カ月を限度に助成します。これにより、市外から本市に通勤されていている方の市内居住の促進を図ります。また、「民間の世帯向け賃貸住宅が少ない」との声もあることから、民間が新たに世帯向け住宅を新築する場合、1戸当たり100万円、世帯向けに改修する場合1戸当たり50万円助成する新たな制度を設け、住宅建設の促進を図ります。さらに、移住相談を円滑にかつ積極的に展開するために移住コーディネーターを設置します。
 個人が建設する住宅新築助成では、住宅新築用地の購入に係る助成上限額をこれまでの60万円から100万円に、さらに親子三世代同居に加えて近居であっても対象にするなど制度の拡充を図ります。
 また、空き家の活用をさらに促進するために、新たに空き家購入及び家財整理費に対し助成します。また、これまで対象としていた改修費助成も現行の50万円から最高75万円まで引き上げます。
 住宅リフォーム補助については、上限額をこれまでの20万円から30万円に引き上げます。
 また、市全域への移住・定住を図るために有漢地域への分譲宅地の造成、川上地域には地域優良賃貸住宅の整備など新たに行います。 
 地域外の人材を受け入れ、地域の活力を呼び起こし定住を図る地域おこし協力隊も現在の4名から新たに2名受け入れることとしています。

 住宅支援と併せて定住対策で重要なのが、安心して子供を産み、育てることのできる子育て環境整備でございます。
 まず、妊産婦の経済的な負担を軽減するとともに疾病の早期発見と受療を促し、母子保健の向上を図るため、母子手帳を交付して出産するまでの医療費の自己負担分を全額助成する「妊産婦医療費助成制度」を創設します。
 出産祝い金支給事業を大幅に拡充します。具体的には、現在第3子以降については3万円の出産祝い金をお渡ししていますが、これを第3子に50万円、第4子以降は100万円のお祝いをし、多子世帯の子育てを支援します。支給方法は出産時、あるいは就学時など何回かに分けて、また、現金と地域振興券などを組み合わせることで、市内経済効果も図っていきたいと考えています。また、子育て全般の相談に応じる専門員と窓口を設けるとともに、家事、育児が困難なお産直後の家庭にヘルパーを派遣する制度も新たにはじめます。
 4月から有漢、川上地域で新たに幼保連携型認定こども園がスタートします。また、成羽認定こども園を旧成羽高等学校跡地に建設するため実施設計に着手します。
 要支援児対策としては、集団生活が困難な児童に対して個別の療育を加えた保育や子ども1人に対して保育士1人が対応するなど支援保育体制の充実を図ります。
 子供の健康の保持増進、また経済的負担の軽減を図るため、0歳から18歳までの医療費無料化、不妊症・不育症対策など引き続き医療費等の助成を行っていきます。
 なお、本年度からはじまる「子ども子育て支援新制度」と同時に認定こども園を開設することから、これまで教育委員会が所管していた子どもに関する事務を子ども課において取り扱うとともに、「子供たちの未来のために」という思いを込めて「子ども課」の名称を「子ども未来課」に改称します。すべての就学前の子供たちが幼児教育を受け、故郷の歴史を感じることができる環境づくりを進めてまいります。

 次代の高梁市を担う子供たちの教育環境の整備でありますが、まず児童・生徒の学力向上を図るため、市独自で小学校2年生以上を対象に標準学力検査を実施します。これにより、小学1年生を除く各学年及び各児童生徒の学力の状況を全国基準に照らして客観的に把握することができます。少人数の学年が多い本市の状況を考えると、低学年のときから全国基準や市全体での位置づけを確認できることの意義は大きいと考えています。一方、教育の目的である人格の形成に向けては、知・徳・体の調和のとれた取り組みが必要であり、徳育、体育に関する実践にはこれまでも取り組んでいる特色ある学校づくり事業において、小学校、中学校が連携するなど引き続き実施します。また、特別支援教育については支援員を5人増員するなどして支援の強化を図ります。また、不登校児童生徒を対象とした適応指導教室の運営、学習活動を進める上で、学級担任の補助が必要な学級に地域住民等をクラスサポーターとして配置するクラスサポート事業、市費負担による学級編成弾力化事業なども強化、継続していきます。
 生涯学習の推進という観点からは、公民館を拠点に地域コーディネーターを配置し、学校の要望を聞き、地域との調整を行い、地域住民による学校支援ボランティアの輪を広げる学校支援地域本部事業、放課後子ども教室推進事業、食育、健康に関する子育て応援講座なども継続して実施します。
 施設整備では、耐震補強工事、高梁小学校へのエレベーターの設置、トイレ改修、幼稚園給食に伴う施設整備、給食センターの設備更新など施設の環境整備を行っていきます。

 産業の振興についてであります。
 活力ある地域とするため商工業、農林業等産業の振興を図っていきます。
 本市の基幹産業である農業の振興については、地理的に小規模農地、また、高齢化や後継者不足により経営的には厳しいものがありますが、高原特有の気象条件などを活かしたピオーネやトマト、芍薬など全国に誇れる特産農作物があり、これらを中心に栽培の推進と普及、ブランド化をより一層進め、農家所得の向上を図っていきます。そのためにも地域農業の担い手を確保するために新規就農者の育成、集落営農の組織化と法人化の推進、さらに意欲ある農業者への農地の集積を図るための農地中間管理事業による農地の確保に努めていきます。
 また、農業の生産性と安全性の向上を図り継続して営農できる環境整備として、畑地灌漑設備の更新・補修、農道及び農道橋の保全、耐震補強工事などを行います。
 一方、有害鳥獣による農作物への被害は年々拡大傾向にあり深刻な問題となっております。昨年は鳥獣被害対策実施隊を組織し、捕獲活動など強化してまいりましたが、さらにイノシシ、サルの駆除奨励金の増額をするとともに、シカも新たな対象にするなど制度の拡充を図り、被害防止に努めてまいります。また、天然記念物である臥牛山のサルについても、サルに発信機を設置し行動状況を調査するとともに、個体数調整を行うなど適正な保護管理と行うとともに、生息地以外での食害を防ぐための対策にも積極的に取り組んでいきます。
 森林荒廃の防止、自然環境機能の維持、増進をはかるため、引き続き里山林再生事業を実施します。また、こうした事業等で産出される木材等の木質資源を福祉施策との連携や、草質資源と合わせて堆肥などへ活用するなど資源循環型社会の実現に向けての実行、調査を進めていきます。
 地域商業活性化支援事業では、市内の中小企業や起業を目指し新分野にチャレンジされる方に対する助成、商店会等が共同施設の整備や改修を行う場合の助成、移動販売車の購入、改造に係る支援も継続し、商業の活性化を支援していきます。
 雇用機会の拡大を図るためにも企業誘致は必要であり、オーダーメイド、レディメイド両方を見据えつつ新たな工業用地の造成に着手します。
 観光振興につきましては、観光戦略アクションプランに基づき計画的に様々な事業に取り組んでいきます。最近では、「天空の山城」として全国から注目を集めている備中松山城を訪れていただく観光客数が急増しており、今後さらに増加が見込まれます。平成28年春にはJRグループが行うデスティネーションキャンペーンがありますが、本年7月から9月の期間はそのプレイベントが行われることもあり、観光客誘致と本市をPRする絶好の機会であります。そのためにも、観光協会をはじめ旅行会社など関係団体との連携を強化し、特色ある食、土産物の開発、観光モデルコースの設定、ボンネットバスの活用など受け入れ態勢を充実させていきます。さらにマスコミなどとも連携し、全国に向けての広報事業を強化します。
 また、気持ちよく訪れていただき、楽しんでいただくためにも、わかりやすい観光案内版の設置やトイレの新設・改修、休憩所を順次整備していきます。さらに市内主要観光所にWiFiスポットを整備します。
 吹屋の広兼邸については、県から譲り受け、屋根の改修工事を行います。吹屋地区、本町地区に多数ある古民家を活用したまちづくりを進めるため、外部専門家を招いて新たに調査、研究を進め、高梁市の持つ特徴にさらに焦点を当てて交流人口の増加につなげていきます。

 子どもから高齢者まで、地域のつながりの中で心豊かに健康で暮らせることを誰もが願っています。そのためには、健康づくりの拠点である保健センターなどを中心に各種検診、健康相談、健康教室、運動教室などを行い、生活習慣病予防と市民の健康意識高揚に努めてまいります。また、病気の早期発見・早期治療のため健康診査、各種がん検診など引き続き実施します。特に胃がんの早期発見と死亡者の減少を図るため、昨年から実施している胃がんリスク検診、いわゆるABC診断については、対象を20歳から65歳までの5歳刻みで無料実施します。
 市民が住み慣れた地域で生活を続けることができるためには、保健、医療、福祉の包括的かつ継続的なサービスの提供が必要であります。そのため、国・県の支援を受け、平成25年度から在宅医療連携拠点事業に取り組んできているところです。平成27年度は、医療、介護関係者が患者等のケア情報などを共有できる情報ツールなどを積極的に活用し、療養者や家族の希望に沿ったサービスを適切に提供する体制の構築に取り組みます。また、老朽化しています養護老人ホーム成羽川荘と長寿園を統合し、旧成羽高校跡地に新たに建設するための実施設計を行います。
 医療、介護に従事する人材の育成を図るための奨学金の貸し付け制度も有効的活用を図り、資格取得と就学支援を行います。
 また、老朽化した成羽病院の医師住宅の改築に着手します。

 スポーツの振興と交流についてですが、今年で5回目となりますヒルクライムチャレンジシリーズは、10月3、4日に開催することとしています。出場者も回を重ねるごとに増加し、また、市民の皆さんの協力、応援の輪も広がり、素晴らしいイベントとして成長しているものと実感しています。また、昨年からパレードコースを市街地に移し城下町を通行することで、より高梁らしさを出した大会になってきました。今年も実行委員会の皆様にいろいろとお知恵をいただきながら、様々な交流が膨らむような大会にしたいと考えています。
 なでしこリーグで2年間戦ってきたFC吉備国際大学シャルムは、今季から新設された2部で戦うこととなります。毎年、選手が入れ替わる大学生チームというハンディがありながら、これまで戦ってこられたのも市民みなさんの熱い声援があったことはいうまでもありません。また、日新高校女子サッカー部も創部わずか4年で全国大会に出場するなど今後の活躍が大いに期待されます。勇気と感動を与えてくれた彼女たちの活躍を今年も期待するとともに、シャルムのみならず、ファジアーノ岡山による子供たちを対象としたサッカー教室、岡山シーガルズの本市でのスプリングキャンプや教室、3ライズリーグ、少年野球、トップアスリートによるスポーツ教室などスポーツ交流を積極的に推進していきます。
 スポーツ施設では、神原スポーツ公園の多目的グランドを改修し、公式のサッカー場としても利用できるよう整備してまいります。これにより、神原スポーツ公園は現在の人工芝サッカー場と合わせサッカーを主体に、また、成羽運動公園は野球、ソフトボールを中心に、有漢スポーツパークはグランドゴルフ場を新たに整備するなど、競技種目ごとに特化したスポーツ施設の整備を進めていきます。また、旧成羽高校の体育館の改修、旧川上中学校は校舎を解体し、地域のスポーツ公園として整備するための測量設計を行うほか、長谷地区のグラウンド等についても順次設備の整備を進め、スポーツ施設の充実を図ります。

 地域と一体となった学園文化交流都市づくりを推進していきます。
 大学誘致以来、本市では多くの学生が学び、教育、文化、地域経済に大きく貢献してきております。若年層が減少する中、順正学園を支援し、まちの活気、にぎわいの中心となる学生数の安定確保を図るために私立学校入学奨励金、順正学園広報費の補助及び日新高校の運営費補助など引き続き支援をしていきます。また、学生を中心にボランティア活動の促進と地域経済の活性化を目的に、ボランティア活動にポイント制を設け、ポイント数により商店街等の商品券を交付する新たな事業にも取り組みます。
 さらに、地域に根ざした大学として教育・研究・社会貢献を進めるため、地域と大学の連携を深める「地(知)の拠点事業」を継続するとともに、昨年度創設された「アニメーション文化学部」との関係もあり、高梁市を舞台としたアニメ「愛・天地無用」が制作され、昨年秋から関東圏で、また、今年になり県内でも放映されるなどアニメを通じて全国へ情報発信されるようなりました。こうしたアニメを活用したまちづくりも進めていくこととしています。

 本市に残る貴重な文化遺産や伝統芸能、歴史的町並みなど保護・保存し、次世代に伝えていきます。
 備中松山城では小松山城跡大手門の石段整備、旧吹屋小学校の保存修理工事に着手します。吹屋伝統的建造物である家屋修繕、継続事業である順正寮跡保存整備に係る助成などを行っていきます。
 郷土の偉人、山田方谷さんの偉業や業績を顕彰・啓発する事業を「方谷さんを広める会」をはじめとする県内外の関係団体などと協力し合って進めていきます。また、高梁市のご出身で弓道の大家「吉田能安」先生のご遺族から、以前寄付を受けております東京の自宅及び弓道場の老朽化が進み危険となったため、改修工事を行い、引き続き先生の顕彰を行うとともにその意思を尊重し、有効な活用を図っていきます。
 また、市の伝統芸能である備中神楽、渡り拍子を伝承していくために後継者の育成、関係団体の支援などを引き続き行います。
 こうした歴史と文化に育まれ、自然豊かな本市の資源を活かしながら観光振興、交流人口の増加につなげていきたいと 考えています。

 地域交通についてであります。
 公共交通体系再編事業については、「高梁市地域公共交通網形成計画」に基づき計画的に地域単位での交通再編、交通空白地の解消に向けた公共交通の導入に取り組んでおります。
 平成23年度から取り組んでいます備中地域、あるいはその後の川上地域などのデマンド型ふれあいタクシーの利用も好調です。また、昨年から川面、巨瀬、中井の生活福祉バスの実証運行を行っており、平成27年度は松原地区を対象に取り組んでいくともに有漢地域の再編事業、運行見直し基準の策定などを行うための計画を策定することで、国の支援などを受けながら持続可能な地域公共交通体系を構築していきたいと考えています。

 地域防災についてであります。
 近年の異常気象、とりわけゲリラ豪雨等による土砂災害による被害が全国各地で多くなってきており、市民の防災意識も高まってきています。災害時における情報の伝達は大変重要になっており、本市ではケーブルテレビを基幹とし、また、防災無線やメール配信など複数の手段で防災・行政情報を提供してきているところです。
 防災情報につきましては、現在の有漢地域、川上地域、備中地域にある防災行政無線が老朽化しており、これに代わる情報伝達手段として全市的に対応していくため、新たに「防災ラジオ」を整備するための調査設計に着手します。
 また、ケーブルテレビによる情報提供を充実させるため、データ放送に取り組むとともに、川上、備中など西部地区においては、現在ケーブルが一本しかありませんので、いざという時のバイパス網、いわゆる冗長化を行うことで、仮に幹線が断線した場合は迂回経路でもって情報を提供できるよう整備を進めます。
 また、災害時に市民あるいは地域がそれぞれ身を守る行動がとれることが大切であり、そのためには地域ごとに自主防災組織の結成を促進するとともに、防災リーダー養成のための支援などを行っていくこととします。
 災害や火災など市民の生命や財産を守るために活動する消防団員の確保が課題となっておりますが、団員の処遇改善と安全性を向上するための施設・設備の充実を図ってまいります。
 さらに、私道が被災した際の復旧は、これまで所有者の全額負担となっており、復旧費によっては復旧を断念する、あるいは転居などの事態も憂慮されていました。復旧にかかる財政支援を創設し、引き続き住み続けていただくための対策を講じます。
 以上、市政に対します所信を述べさせていただきました。

 続きまして、平成27年度予算編成の基本的な考え方について申し上げます。
 我が国の経済でございますが、内閣府が発表した先月の月例経済報告によりますと、景気は個人消費などに弱さが見られるが、緩やかな回復基調が続いており、先行きについても、雇用・所得環境の改善が続く中で、原油価格の下落の影響や各種施策の効果もあって、緩やかに回復していくことが期待される、としています。
 政府としては、大震災からの復興を加速させるとともに、デフレからの脱却を確実なものとし、経済再生と財政再建の双方を同時に実現してくために経済対策を積極的に取り組むとともに、好調な企業収益を設備投資の増加や賃上げ・雇用環境の更なる改善につなげ、地域経済も含めた経済の好循環の実現を目指しております。そのひとつに先月成立した3兆1,180億円の平成26年度国の補正予算により昨年4月の消費税増税で落ち込んだ消費の回復策や地方支援策を柱に景気を下支えすることとしています。
 平成27年度国の予算総額は、96兆3,420億円と当初予算ベースで過去最高となりました。歳入では税収が企業業績の改善から増え、54兆5,250億円と24年ぶりの高水準となっています。これによって財源不足を補う国債の新規発行額は、6年ぶりに40兆円を下回っておりますが、国債依存度は依然38.3%と高い状況にあります。
 また、岡山県の平成27年度一般会計予算は、景気回復や消費税引き上げの影響によって税収が増え、総額7,055億7千万円と対前年比6.9%の増となっています。しかし、社会保障費、人件費、公債費など義務的経費は9.5%増加し、歳出全体に占める義務的経費の割合が4分の3を超えるなど、財政の硬直化が心配されるところでもあります。

 さて、本市の財政状況でございますが、景気の回復基調による法人市民税の増額や、改正後の増税の影響額が通年となる地方消費税交付金の増額を見込んでいるものの、地方交付税については合併から10年間の特例措置が終了し、段階的な縮小がはじまることから減額を見込んでいます。また、歳出面では、少子高齢化の進行等に伴う社会保障費の伸びや公共施設の更新経費の増額が見込まれることから、義務的経費は今後も増加する傾向にあり、本市の財政状況は依然厳しい状況にあります。
 地域経済においても依然厳しい状況が続く中、本市の将来の発展や喫緊の課題に的確に対応してくため、より一層の施策や事業の見直しを図るとともに、引き続き行財政改革に取り組むことにより、財政規律を堅持していかなければならないと考えています。
 そういった状況の中、平成27年度一般会計予算は、前年度に比べ15億円、率にして6.2%の増の255億5千万円と過去最大の規模となりました。これは、図書館を核とした複合施設の建設、旧吹屋小学校整備事業、旧庁舎の解体及び駐車場整備等新庁舎関連事業、市道改良、学校施設改修、地域優良賃貸住宅の整備など投資的経費、繰り替え運用完了に伴う地域振興基金積立金の増加が主な要因となっております。
 また、特別会計予算は、全体で前年度に比べ6億5,836万円、率にして4.3%増額の159億5,075万円となりました。
 これは、国民健康保険特別会計の保険財政共同安定化事業拠出金の増、介護保険特別会計のサービス給付費の増、簡易水道事業特別会計や下水道事業特別会計の事業費増、地域開発事業特別会計による分譲宅地・工業団地造成費等の増加によるものです。
 なお、一般会計と特別会計17会計を加えた総予算額は、415億75万円で、前年度に比べ、21億5,836万円、率にして5.5%の増となっています。
 それでは歳入からもう少し詳しくご説明申し上げます。
 市税は景気の回復基調に伴う法人市民税の増額等により前年度に比べ市税全体で1.7%、6,474万円増の38億1,559万円を見込みました。
 地方交付税は、国が示す地方財政計画及び合併特例措置の段階的縮小を考慮し、前年度に比べ0.9%減、1億円減の106億円を見込みました。
 地方消費税交付金は、改正後の増額影響が通年となることにより、46.5%、1億8,200万円増の5億7,320万円を、国庫支出金は、臨時福祉給付金給付事業や都市街路事業の減額があるものの、複合施設、旧吹屋小学校整備、道路改良事業の実施などにより、14.9%、3億2,813万円増の25億2,622万円を見込みました。
 市債は、複合施設、旧吹屋小学校整備への充当が増額となるものの、新庁舎や都市街路整備への充当が減少することにより、0.1%減の36億9,780万円を見込みました。
 続きまして歳出ですが、各性質別の増額要因としては、普通建設事業費48億5,251万円ですが、これは複合施設整備に11億4,102万円、旧吹屋小学校整備に3億5,520万円、道整備交付金道路整備に1億8,834万円ほか都市街路整備、地域優良賃貸住宅整備、神原スポーツ公園改修整備などにより14.1%、6億57万円の増加となっています。
 物件費は36億1,448万円で、新庁舎関連備品購入費1億6,582万円、特別支援教育の推進、天然記念物管理等の臨時賃金8,048万円、社会保障・税番号制度関連委託料7,634万円などにより19.6%、5億9,235万円の増となっております。
 繰り出し金は、介護保険特別会計繰り出し金が9,913万円増などにより4.6%増の25億8,333万円となっております。扶助費は、障害者福祉サービス給付費が5,770万円増などにより4.8%増の24億3,381万円となっております。
 次に減額要因といたしまして、災害復旧事業費は3億4,411万円で、昨年に比べ48.3%、3億2,109万円減となっております。また、補助費等も臨時福祉給付金が7,750万円減などにより2.7%減の30億245万円となっております。
 以上、平成27年度当初予算の考え方、また概要について述べさせていただきました。