○高梁市環境基本条例

平成24年3月23日

条例第14号

目次

前文

第1章 総則(第1条―第9条)

第2章 環境の保全及び創造に関する基本方針等(第10条・第11条)

第3章 環境の保全及び創造に関する基本的施策(第12条―第18条)

第4章 施策の推進体制等(第19条・第20条)

第5章 雑則(第21条)

附則

前文

私たちのまち高梁は、吉備高原の自然豊かな地域にあり、豊かな森林と清らかな水、澄んだ空気など良好な環境の下に、個性ある歴史や文化を育みながら発展を続けてきた。

それらは、先人の努力により大切に守られ、誇るべき財産として引き継がれている。

しかしながら、近年、私たちが求めてきた物質的な豊かさと生活の利便を求めるくらしは、大量の資源やエネルギーを消費し、さまざまな形で環境への負荷をもたらすこととなり、それは、地域の環境のみならず地球環境を脅かすまでに至っている。

もとより、私たちは、健康で文化的な生活を営むために、良好で快適な環境の恵みを受ける権利を有するとともに、このかけがえのない良好な環境を保全及び創造し、将来の世代へ引き継いでいく役割を担っている。

私たちは、このような自覚のもと、環境への負荷が少ない持続可能な地域社会を構築するため、市、事業者、市民及び市民団体の各々の役割を明確化するとともに、互いの協働により、豊かで良好な環境の保全及び創造に関する取組を積極的に推進することを決意し、この条例を制定する。

第1章 総則

(目的)

第1条 この条例は、高梁市の良好な環境の保全及び創造について基本理念を定め、並びに市、事業者、市民及び市民団体の役割を明らかにするとともに、良好な環境の保全及び創造に関する施策の基本となる事項を定めることにより、その施策を総合的かつ計画的に推進し、もって市民の健康で文化的な生活の確保に寄与することを目的とする。

(定義)

第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。

(1) 良好な環境 市民の健康を維持し、安心かつ安全で文化的な生活を営むことができる生活環境(人の生活に密接な関係のある財産並びに人の生活に密接な関係のある動植物及びその生育環境を含む。以下同じ。)、自然環境及び歴史文化環境をいう。

(2) 市民団体 主として市民又は事業者により組織された団体をいう。

(3) 環境への負荷 人の活動により環境に加えられる影響であって、環境の保全上の支障の原因となるおそれのあるものをいう。

(4) 地球環境の保全 人の活動による地球全体の温暖化又はオゾン層の破壊の進行、海洋の汚染、野生生物の種の減少その他の地球の全体又はその広範な部分の環境に影響を及ぼす事態に係る環境の保全であって、市民の健康で文化的な生活の確保に寄与するものをいう。

(5) 公害 環境の保全上の支障のうち、事業活動その他の人の活動に伴って生ずる相当範囲にわたる大気の汚染、水質の汚濁(水質以外の水の状態又は水底の底質が悪化することを含む。)、土壌の汚染、騒音、振動、地盤の沈下(鉱物の掘採のための土地の掘削によるものを除く。)及び悪臭によって、人の健康又は生活環境に係る被害が生ずることをいう。

(6) 環境保全活動 環境を良好な状態に保つこと、又はより良い環境を創り出すことを主たる目的として自主的に行われる活動をいう。

(基本理念)

第3条 良好な環境の保全及び創造は、市民の健康で文化的な生活を営むことができる健全で恵み豊かな環境を確保するとともに、これを将来の世代へ継承していくことを旨として、適切に行われなければならない。

2 良好な環境の保全及び創造は、健全な経済活動の維持を図りながら、環境への負荷の少ない持続可能な社会が構築されることを旨として、市、事業者、市民及び市民団体のそれぞれの役割分担の下、自主的かつ積極的に行われなければならない。

3 良好な環境の保全及び創造は、地域における多様な生態系を健全な状態で確保するとともに、人と自然との豊かなふれあいを保つことにより、人と自然が共生できるように、適切に行われなければならない。

4 地球環境の保全は、市、事業者、市民及び市民団体が人類共通の課題であることを認識し、それぞれの事業活動並びに日常生活及び環境保全活動において積極的に推進されなければならない。

(市の役割)

第4条 市は、前条に定める基本理念(以下「基本理念」という。)にのっとり、市域の自然的、歴史的、文化的及び社会的条件に応じた良好な環境の保全及び創造に関する基本的かつ総合的な施策を策定し、及び実施するものとする。

2 市は、基本理念にのっとり、自らの施策の策定及び実施に当たっては、環境への負荷の低減及び影響に配慮し、良好な環境の保全及び創造に努めなければならない。

(事業者の役割)

第5条 事業者は、基本理念にのっとり、その事業活動を行うに当たっては、これに伴って生ずる公害を防止し、又は自然環境を適正に保全するために自らの負担と責任において必要な措置を講ずるものとする。

2 事業者は、基本理念にのっとり、環境の保全上の支障を防止するため、その事業活動を行うに当たって、その事業活動に係る製品その他の物が廃棄物となった場合にその適正な処理が図られることとなるように必要な措置を講ずるとともに、その事業活動に係る製品その他の物が使用され又は廃棄されることによる環境への負荷の低減に資するように努めなければならない。

3 前2項に定めるもののほか、事業者は、基本理念にのっとり、その事業活動において、再生資源その他の環境への負荷の低減に資する原材料、役務等を利用し、又は提供するように自ら積極的に努めるとともに、市が実施する良好な環境の保全及び創造に関する施策に協力するように努めなければならない。

(市民の役割)

第6条 市民は、基本理念にのっとり、日常生活において環境への負荷の低減に資する製品、役務等の利用及び資源の循環的な利用、エネルギーの有効利用、廃棄物の減量等に努めるものとする。

2 前項に定めるもののほか、市民は、基本理念にのっとり、良好な環境の保全及び創造に取組むように努めるとともに、市が実施する良好な環境の保全及び創造に関する施策に協力するように努めなければならない。

(市民団体の役割)

第7条 市民団体は、基本理念にのっとり、環境への負荷の低減その他の環境保全活動に取組むように努めるとともに、その活動において市民の先導的な役割を担うべく市民が参画できる体制の整備、情報の提供及び環境保全活動の機会の充実又は学習の機会の提供に努めるものとする。

(各主体の協働)

第8条 市、事業者、市民及び市民団体は、第4条から前条までに規定するそれぞれの役割を果たすため、基本理念にのっとり、相互に連携し、協働して良好な環境の保全及び創造に関する施策及び環境保全活動を推進しなければならない。

(滞在者等の協力)

第9条 通勤、通学及び観光等で市内に滞在する者(市内を通過する者を含む。)は、第6条に規定する市民の役割に準じて良好な環境の保全及び創造に協力するように努めるものとする。

第2章 環境の保全及び創造に関する基本方針等

(施策の策定等に係る基本指針)

第10条 市は、良好な環境の保全及び創造に関する施策の策定及び実施に当たっては、基本理念にのっとり、次に掲げる事項を基本として、各種の施策相互の有機的な連携を図りつつ、総合的かつ計画的に行うものとする。

(1) 人の健康が保護され、生活環境及び自然環境が適正に保全及び創造されるよう、大気、水、土壌その他の環境の自然的構成要素が良好な状態に保持されること。

(2) 生態系の多様性の確保、野生生物の種の保存その他の生物の多様性の確保が図られるとともに、森林、農地、水辺地等における多様な自然環境が地域の自然的社会的条件に応じて体系的に保全及び創造されること。

(3) 人と自然が豊かにふれあうとともに、共生することができる恵み豊かな環境が確保されること。

(4) 歴史的文化的遺産を保存し、その活用を図るとともに、地域の特性を生かした美しい景観の形成が図られることにより、快適な生活環境が確保されること。

(5) 資源の循環的な利用及びエネルギーの有効利用の促進、廃棄物の減量が促進されること。

(6) 地球環境の保全に資する取組がされること。

(環境基本計画)

第11条 市長は、良好な環境の保全及び創造に関する施策を総合的かつ計画的に推進するため、高梁市環境基本計画(以下「基本計画」という。)を定めなければならない。

2 基本計画は、次に掲げる事項について定めるものとする。

(1) 良好な環境の保全及び創造に関する長期的な目標及び施策の大綱

(2) 前号に掲げるもののほか、良好な環境の保全及び創造に関する施策を推進するために必要な事項

3 市長は、基本計画を策定するに当たっては、あらかじめ事業者、市民及び市民団体(以下「市民等」という。)の意見を反映させるために必要な措置を講ずるものとする。

4 市長は、基本計画を策定するに当たっては、あらかじめ高梁市附属機関条例(平成17年高梁市条例第2号)に規定する高梁市環境政策審議会の意見を聴かなければならない。

5 市長は、基本計画を定めたときは、遅滞なく、これを公表しなければならない。

6 前3項の規定は、基本計画の変更について準用する。

第3章 環境の保全及び創造に関する基本的施策

(施策の策定及び実施における環境配慮)

第12条 市は、環境に影響を及ぼすと認められる施策を策定し、及び実施するに当たっては、基本計画との整合性を確保するとともに、良好な環境の保全及び創造について十分配慮しなければならない。

(活動促進の措置)

第13条 市は、市民等が行う環境への負荷の低減その他の良好な環境の保全及び創造に関する活動を促進するため、必要な措置を講ずるように努めるものとする。

(環境の保全及び創造に関する教育等の推進)

第14条 市は、市民等が自ら良好な環境の保全及び創造についての理解と関心を深めることにより、良好な環境の保全及び創造に関する活動が促進されるようにするため、環境に関する教育及び学習の推進並びに広報活動の充実その他の必要な措置を講ずるものとする。

(情報の提供)

第15条 市は、市民等の自発的な活動の促進に資するため、環境の状況その他の良好な環境の保全及び創造に関する必要な情報を収集し、市民等に適切に提供するように努めるものとする。

(市民環境月間)

第16条 市民等に広く良好な環境の保全及び創造についての関心と理解を深めるとともに、積極的に良好な環境の保全及び創造に関する活動を行う意欲を高めるため、高梁市民環境月間を設ける。

2 高梁市民環境月間は、毎年10月とする。

3 市は、高梁市民環境月間の趣旨にふさわしい事業の実施に努めるものとする。

(調査及び監視等の体制の整備)

第17条 市は、環境の状況の把握、環境の変化の予測その他良好な環境の保全及び創造に関する施策を策定し、及び適正に実施するために必要な事項の調査に努めるものとする。

2 市は、環境の状況を把握し、良好な環境の保全及び創造に関する施策を適正に実施するために必要な監視、測定及び検査を行う体制の整備に努めるものとする。

(地球環境の保全に関する施策の推進)

第18条 市は、すべての事業活動並びに日常生活及び環境保全活動において、地球環境の保全が積極的に推進されるように、施策の推進に努めるものとする。

第4章 施策の推進体制等

(推進体制の整備)

第19条 市は、市民等と市が協働し、良好な環境の保全及び創造に関する施策を積極的に推進するために必要な体制を整備するものとする。

(国及び他の地方公共団体との協力)

第20条 市は、良好な環境の保全及び創造を図るため広域的な取組を必要とする施策については、国及び他の地方公共団体と協力して、その推進に努めるものとする。

第5章 雑則

(委任)

第21条 この条例の施行に関し必要な事項は、市長が別に定める。

この条例は、平成24年4月1日から施行する。

高梁市環境基本条例

平成24年3月23日 条例第14号

(平成24年4月1日施行)