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市長所信(平成29年3月)

ページID:0020249 印刷用ページを表示する 掲載日:2017年3月2日更新

 みなさんおはようございます。
 三月・弥生の声をききました。「弥生」とは「草木がいよいよ生い茂る」という意味だそうですが、春とは名ばかりで、朝夕の冷え込みは厳しくまだまだ冬のコートが手放せない今日この頃です。議員皆様におかれましても健康には十分ご留意いただきたいと思います。
 さて、本日平成29年3月の議会定例会を招集いたしましたところ、議員各位におかれましてはご多用にもかかわりませず、ご参集をいただき、誠にありがとうございます。また、平素は市政全般にわたり、ご理解、ご協力を賜っておりますことに厚くお礼を申しあげます。
 今3月議会に提案をいたしております議案は52件であります。提出議案の説明に先立ちまして、諸般の報告と市政に取り組む所信の一端、また、新年度における施策の概要等について述べさせていただきたいと思います。

 【諸般の報告】 
 まず、2月4日、高梁市新図書館が開館いたしました。これにより平成20年から取り組んで参りました高梁駅周辺整備の一連の計画されていた事業は終了したこととなります。事業推進にあたりましては様々なご議論をいただくとともにご理解とご協力をいただきました。また、地元関係者のご理解とご協力あっての完成でございます。改めて関係者皆様方に感謝申しあげます。
 新しい図書館ですが、入館者数は開館して8日目の2月11日で23,399人となり旧高梁中央図書館の年間利用者数を超え、11日目の14日には3万人を突破するという予想を大幅に上回る入館者数で、正直驚いています。また、心配していました駐車場の不足や周辺の交通渋滞についても、今のところ大きな混乱もなく少し安心しているところです。
 なお、2月末までの入館者数は、62,924人、貸出冊数は23,192冊、一日平均にしますと2,517人の来館と927冊の貸し出し冊数であり、旧図書館の198冊と比較して約4.7倍という状況です。また、3階の学習室、4階の児童書フロアには子供連れや学生なども多数訪れており、学習意欲や本への関心が高まっている様子がうかがえます。
 さらに、1階に設けましたテナントでは、飲食店2店を含む4店舗が営業をされています。いずれもそれぞれの特徴を活かされ、順調な滑り出しであると伺っています。もちろん、開館したばかりであり、しばらくはこのような状態が続くものと思いますが、これを契機とし、知の拠点でもある図書館を中心として人やモノの交流が活発化し、経済にも好影響を与え地域の活性化が図れるよう、さらなる展開を指定管理者や関係機関と協議していきたいと考えています。
 また、複合施設落成前の1月29日には駅前に山田方谷先生の銅像が建立され、その除幕式も行われたところです。これは、生誕210年の記念事業として市民有志の方による実行委員会が取り組まれ、銅像制作等の費用は広く募金を呼びかけるなど、新しい形の事業形態で取り組まれたものです。方谷さんの像は、牛麓舎や備中松山城に向かって力強く一歩を踏み出している姿で、本市の玄関口でもあることから本市の新たなシンボルとして、また、本市を訪れる多くの方に方谷先生をより知っていただくとともに、引き続きNHK大河ドラマ実現に向けて取り組んでいきたいと考えています。
 2月12日には、高梁総合文化会館で「NHKのど自慢」の公開生放送が行われました。新市になり本市での開催は3回目で、これほど短期間の内に同一場所で3回も開催した例は他ではないとのことですが、全国放送だけにその宣伝効果は大きく、本当にありがたく思っています。国民的人気のあるこの番組を裏付けるように、出場申込み者数は800人あったそうです。当日は最終予選を通過された20組の熱唱・熱演に、会場にお越しいただいた800人余の方をはじめ全国ののど自慢ファンに楽しんでいただけたことと思っています。
 2月19日には、38回目となる「愛らぶ高梁ふれあいマラソン」が開催され、市内外から849人が参加し、健脚を競うとともに本町など情緒あふれる街並みを楽しみながら走っていただきました。大会の運営にあたりましては体育協会をはじめボランティアスタッフの方々に心から感謝いたします。
 次に高梁市立地適正化計画であります。この計画は、人口減少と少子高齢化の進行が一層見込まれる中で、将来を見据え、都市としての機能が持続され、自治体としても安定した行財政運営を継続していくためのまちづくりの指針を示すものです。計画案の概要につきましては、昨年11月の議会全員協議会においてもご説明したところですが、その後、素案につきまして1月下旬から2月にかけて市内3会場や各種団体組織の会合等において説明をさせていただきました。また、あわせてパブリックコメントも行ったところです。
 本計画を策定することにより、今後、都市計画区域内の指定区域に予定する特定事業について、公共事業はもちろんのこと要件を満たした民間で行われる福祉、教育、商業等の都市機能整備事業に対しても国からの支援・優遇措置を受けることができるようになります。なお、具体的な特定事業等については、今後検討していくこととなります。
 本計画は、今月13日に開催する計画策定協議会において、市民意見なども踏まえご審議をいただき、指定区域となる「誘導施設・都市機能誘導区域」については、3月末に公表することとしています。なお、居住誘導区域につきましては、平成30年度に公表することとしています。
 以上、諸般の報告とさせていただきます。

 【所信について(地方創生に向けて)】 
 それでは、市政に取り組む所信の一端を述べさせていただきます。
 私にとりまして平成29年度の当初予算は、任期3期目の最初の通年予算編成となりました。昨年12月議会において3期目の市政運営等については申し述べさせていただいたところですが、昨年策定しました「まち・ひと・しごと総合戦略」に掲げる5つの基本目標に「環境対策」を加えた6つの施策を中心として、地方創生のための施策を進めていきたいと考えています。
 そこで、重要施策等のさらなる推進を図るため市役所の機構改革を一部行います。
 まず、公聴広報機能の充実を図るために、現在の「秘書政策課」を「秘書広報課」に改めます。これにより秘書政策課の企画係及び大学連携室を総合戦略課に移行し、総合計画や総合戦略を一体的に推進していくとともに、引き続き主要事業に係る調整及び特命事項を担当します。また、産業観光課の「歴史まちづくり係」を総合戦略課に移行し、再編に伴い政策推進係を廃止します。これにより総合戦略課は1室、2係となります。
 次に、イノシシ、サル、シカなどによる深刻な農作物被害の対策に積極的に取り組むため、産業経済部内に「有害鳥獣対策室」を新設します。あらゆる方策を検討し、関係機関をはじめ農林課、各地域局と連携して、集中的かつ迅速な対応により被害の減少に努めていきます。
 次に教育では、就学前の子どもが同じ教育方針の下で学び、学力を向上させ、心身ともにたくましく育つため、幼稚園、こども園、保育園の教育を担当する「就学前指導係」を学校教育課内に設けます。また、学校教育課から総務係と管理係を分離し「教育総務課」とし、幼稚園から高等学校に至る公立学校や学校給食センター等に係る教育環境整備や体制支援の強化に努めます。
 次に、消防組織については、現在「警防課」で行っている予防業務を分離し「予防課」を新設し、防火・防災についての啓発活動や訓練、防火対象物などの査察・指導を強化することで、市民及び施設の安全確保にこれまで以上に取り組んでいきます。
 それでは、新年度における取り組みにつきまして、6つの柱を中心に申し述べたいと思います。
 1つ目は「人づくり」です。
 まちづくりの基本は「人づくり」です。その中でも子どもたちの教育に重点を置き未来を担う人づくりを進めていきます。
 本市には、認定こども園から吉備国際大学まですべての教育機関を有しています。この強みを生かし、それぞれの段階で相互に協力し合うことによって、幼児期から高等教育まで一貫した流れの中で学ぶことができます。このような教育環境の下で、特に就学前の子どもたちに故郷を想う心、人としての行いなどを学ぶ教育を進めていきます。そのために先ほど申しあげたとおり、学校教育課の中に就学前指導係を設置し、義務教育を含め指導体制に特化した課として体制を強化していきます。
 小中学校では、電子黒板やタブレットを活用した授業、いわゆるICT教育に取り組むこととし、29年度では2小学校と1中学校にタブレット型端末機を導入します。
 また、新図書館がオープンしたことにより、子どもたちもこれまで以上に本に興味を持ってくれることと思いますが、これまで小学校に入学する際に各自が選んだ本を贈る、いわゆるセカンドブック事業に取り組んできましたが、29年度から中学生を対象にしたサードブック事業にも取り組みます。
 子どもが減少する中、教育活動の充実と学校規模の適正化を図るために学校再編整備計画の策定にも取り組んでいきます。

  2つ目は、「地域医療連携、出産・子育て支援」です。
 市内で診察が完結できる体制づくりや生活を支える在宅医療・介護サービスの提供体制の充実などバランスのとれた支援体制を確立し、子どもから高齢者まで「安心して住むことができるまち」を目指していきます。そのために高梁地域医療構想の策定に取り組みます。
 出産・子育て支援では、これまで妊産婦医療費など各種助成や0歳から18歳までの医療費無料化、出産祝い金の拡充など各種支援制度の充実を図ってきたところですが、さらに、健康づくり課内に「子育て世代包括支援センター」を設置し、関係課との連携を密にすることで、妊娠、出産、子育てにおいて切れ目のない支援ができるよう体制を強化します。また、岡山県病児保育広域相互利用協定に参加することで、市町村を越えて病児保育施設の利用ができる体制を整えます。
 加えて、保育士の養成と確保のため、新たに保育士養成奨学金貸付制度を創設します。

 3点目は、「地域連携、生涯活躍のまち」の推進です。
 現在、立地適正化計画の策定による中心市街地の都市機能の充実を図るとともに、地域局・市民センターを拠点とした周辺地域の維持を図り、市街地と地域、地域内外を公共交通等で繋ぎ、地域医療対策とも連携を図りながら、それぞれが持ち味を生かしていくことで、協働のまちづくりを進めていきます。そして、人口減少と高齢化が進む現在でも、多くの方は住み慣れた地域で生涯暮らし続けたいと願っています。介護保険事業では新たに総合事業がスタートしますが、介護予防としてボランティアによるポイント制度導入など、地域で支え合い共同活動を展開することで地域の活性化を図ることが求められてきます。地域住民が支え合い共同活動を行う互助、共助の取り組みがこれからは大変重要となります。町内会支援制度を充実させ、自分たちの地域をみんなで守り創っていく活動を推進することで、地域の元気づくりを進めます。
 さらに、高梁への新たな人の流れを生み出し、元気な高齢者の移住促進と障害を持つ人の自立に向けた支援など本市の持つ資源を活かしながら、市内に住むすべての人々が安心して生活を営む多世代協働社会・高梁版CCRCづくりを進めるための研究を行っていきます。
 次に防災関係ですが、災害に強いまちづくりを進めるために、自主防災組織の育成と活動を促進するとともに、防災情報等を補完するための防災ラジオの整備、成羽町下原地区の内水排除対策に取り組みます。消防設備では、はしご車に代わる多目的消防ポンプ車の導入を行い、市民が安心して暮らしていける環境整備に努めていきます。
 この中で、防災ラジオについては、これまで基本的な考え方をお示しする中で、登録料等一定の負担をお願いするとともに高齢者及び障害者については減免措置を講じるなど、できるだけ防災情報が取得できるように配慮することをご説明してきました。この考えに基づき、地域での説明会を開催し、ご意見、ご要望をお聞きしてきました。また、議会全員協議会や総務文教委員会においても様々なご議論等をいただいたところです。
 一方、財政面では、国への働きかけなどにより、これまで既に防災無線を整備している地域に、防災ラジオを整備することについても、7割の交付税措置がなされる財政的に有利な地方債の充当が認められるなど、機器整備について一定の財源確保ができたところです。
 防災ラジオは防災情報等を補完するいわゆる情報ツールの一つと考えていますが、市民の生命や財産を守り、安心、安全を確保するという自治体の責務に鑑み、市民の皆さんのご負担を求めず、希望される方には無償貸与させていただくこととし、これまでの基本的な考え方を変更しましたので、ここで改めて私の方からご説明させていただきました。

 4つ目は、「観光交流・移住促進」です。
 本市の歴史や伝統、地域資源を生かし、観光やスポーツ交流人口の増加と地域経済に好影響を生む仕掛けづくりを促進していくことで、高梁市に来訪する人の流れを一層強めていきます。
 交流人口の増加対策につきましては、備中松山城や吹屋地区など恵まれた文化・観光資源があることで、近年本市を訪れる観光客は外国人を含め増加しています。観光客の満足度を高め、リピーターを増やすためにも、トイレ施設をはじめとする観光施設の整備や観光案内の充実を図ります。また、ボンネットバスの活用や高梁川流域の各自治体と連携した広域的な取り組み、歴史的風致維持向上計画に基づく歴史的町並み環境整備、古民家を活用した滞在体験型宿泊施設の整備などを行っていきます。
 スポーツ交流では、来季もなでしこリーグ2部での活躍が期待されるFC吉備国際大学シャルムの支援、回を重ねるごとに参加者が増え今年で7回目となるヒルクライムチャレンジシリーズ、神原スポーツ公園多目的広場の改修、旧川上中学校跡地の整備などスポーツ施設の充実を図ることで、様々なスポーツによる交流人口の増加を図っていきます。
 また、友好都市である山鹿市や四万十町が本市に集い市民レベルによる文化交流や三重県亀山市で行われる「かめやま文化2017プロジェクト」イベントへの参加、京都市が中心となって行われる「大政奉還150年記念イベント」など、お城や方谷さんといった歴史的繋がりを活かしたイベントへ参加します。
 移住・定住対策については、これまで様々な施策に取り組んできており、その成果も出てきていると考えています。特に空き家については、平成27年度から空き家バンクの登録及び成約件数が急激に伸びている状況で、移住者にとって本市が紹介する空き家は大きな魅力となっているようです。これまでの改修や購入助成に加え、空き家の活用を促進するための家賃助成制度を創設します。また、移住相談や現地案内などの移住サポート業務を外部に委託することで、柔軟な対応ができるよう受入サポート体制の充実・強化を図っていきます。
 また、学園文化都市づくりでは、産学官連携による人材育成、吉備国際大学アニメーション文化学部との連携により、アニメスタジオの整備とともに、運営体制を整え、雇用の創出など国の支援を受けた地方創生事業として取り組みます。さらに、学生確保のための広報費補助、入学奨励金等引き続き支援を行います。

 5点目は、「雇用環境の創出」です。
 新たな雇用の場の創出を目的として、現在進めている有漢工業用地への企業誘致や沖ノ原工業団地の拡張、個人による起業や新たな産業を創出するための調査研究、製品開発のための商工振興助成制度など引き続き行っていきます。また、新たに新規学卒者を対象に市内企業見学会を行うとともに企業懇談会などにより情報交換を行い、市内への定住・雇用を進めていきます。
 農業については、儲かる農業、魅力ある農業を実現するためにもブドウやトマト、備中牛などの地域特産物のブランド化の推進を一層図っていきます。そのためにも担い手の確保や省力化、新規就農者への各種支援を関係団体、地域と連携しながら進めます。また、「人・農地プラン」を活用した地域での話し合いにより、集落営農の組織化や法人化を進めることで産地の維持を図っていきます。さらに、今後の農業を考えた時、優良な農地の保全や管理を含めた農地の効率的な利用を図ることが重要であるとの考えから、農業振興地域整備計画の見直しにも着手したいと考えています。
 新たな作物として取り組んでいます薬草栽培の産地化も、引き続き地方創生事業として取り組んでいきます。

 6つ目は「自然を生かす環境対策」です。
 本市のすばらしい環境を守るため、荒廃農地対策や山林整備、有害鳥獣対策など、大きな意味での環境政策と捉え、資源の有効活用などとあわせて取り組みます。
 まず有害鳥獣対策については、冒頭申しあげたとおり専門部署を設け、猟友会など関係団体の協力をいただきながら、積極的に取り組んでいきます。駆除対策としては、新たに狩猟期間中の駆除奨励金の交付や狩猟免許取得に要する費用の全額補助、防護柵の設置補助率も一部拡充するなど様々な対策を講じていきます。また、ごみ対策につきましてもゴミ排出量削減のため、生ゴミや草木の堆肥化などについて、企業や専門家の意見を取り入れながら実用に向けて研究していきます。

 【市政の課題解決に向けて】
 
総合戦略に掲げている施策を中心にした取り組みは以上のとおりですが、このほかにも市政の課題解決に向け積極的に様々な事業に取り組むこととしていますので、ここで申し述べさせていただきます。
 福祉施策として、手話の理解及び普及を図り、手話が言語として日常的に使える地域社会の構築と「ろう者」と「ろう者以外の人」が共生できるまちづくりを推進するため、県下では初めてとなる手話言語条例を制定します。要約筆記や手話講座などへの参加、子どもたちへの指導など手話を使用しやすい環境の整備を図るとともに、救急救命士にも手話を身につけてもらうなど様々な場面でコミュニケーションが図れるようにしたいと思っています。
 また、障害者が日常生活で抱える課題等について気軽に相談できるよう「たかはし障害者総合相談センター」を設置し、相談支援体制の充実を図ります。さらに、在宅で重症心身障害者を介護されている家族等の介護負担を軽減するために医療機関等に短期間入院等ができる「重症心身障害者レスパイト拡大促進事業」に取り組みます。
 福祉施設整備では、旧成羽高校跡地に老人ホームと認定こども園が一体となった施設の工事に着手します。また、川上診療所及び老人保健施設「ひだまり苑」の大規模改修を行います。
 社会基盤の整備では、水道管の耐震化や上水道と簡易水道の統合整備、下水道事業では高梁浄化センターの改築工事などを行います。さらに、成羽公民館、地域局、成羽図書館などの公共施設を一体的に整備する成羽複合施設については、地域のご意見などもお聞きしながら、現在着手している基本設計をまとめていきたいと考えています。今後、ご寄附をいただく伊藤氏との調整も図りながら30年度着工に向けて進めていきます。
 地域の伝統・文化の維持向上施策としては、吉岡銅山遺跡調査の実施、備中松山城関係では大池周辺の整備工事、吹屋関係では継続事業で3年目となる旧吹屋小学校整備、伝建家屋保存事業など引き続き取り組みます。

 次に、「旧ゆらら」施設についてです。平成24年12月31日に営業が終了して以降、その活用方法について複数の民間企業からの活用提案があったところですが、いずれも実現に至っていません。施設については、再開に向けた施設整備や維持管理費など公費を投入しないことを前提に売却先を探してきましたが、この施設を有償で取得した上、改修にかかる費用を投資し、かつ収益を上げる事業を行っていくことが非常に難しいことは、今までの指定管理者の運営状況や、活用に向けた民間からの提案内容でもご判断いただけるものと思います。
 ゆらら施設の活用は、地域の活性化はもとより本市の経済発展にも大きく寄与するものでなければならないと考えています。その活用方法については慎重に考えていかなければなりませんが、このままの状態が長く続くと施設の老朽化も進んでいきます。従いまして、先程も申しましたとおり、従来の方針である施設の売却の条件を緩和し、無償譲渡などの選択も含め有効な活用方法の提案を募集し、次のステップへ進めたいと考えています。

 新年度における各種施策への取り組み等述べさせていただきましたが、これらは本市が目指す都市像「ひと・まち・自然にやさしい高梁」の実現、また、少子化・高齢化による人口減少を少しでも抑えつつ地方創生を成し遂げるという「高梁市まち・ひと・しごと総合戦略」に定める目標に向かって、施策の継続的な実施が必要です。
 しかしながら、今後人口が減少することに伴い市税や普通交付税が減少するなど財政規模は縮小する見込みです。一方、歳出は社会保障費などの増加により経常的な経費が増高することが見込まれるなど、財政を取り巻く状況は依然として厳しいことに変わりはありません。そのため、将来において安定した行財政運営を維持し、質の高いサービスを提供していくためには、職員一人ひとりが不断の改革・改善の意識を持ち、諸課題の解決に向けて取り組むこととあわせ、将来の人口減少を見据えた行財政基盤を確立するための、新たな行財政改革に不退転の決意で取り組んでいきます。

 【新年度予算について】
 それでは、平成29年度予算編成の基本的な考え方について申しあげます。
 まず、我が国の経済ですが、第2次安倍内閣発足後、国内総生産(GDP)は名目、実質とも増加しており、就業者数の増加、賃上げなど雇用・所得環境は改善し、景気は緩やかな回復基調が続いています。他方、経済の先行きについては、海外の保護主義的動きや為替相場の変動が国内輸出や生産に影響を与え、経済の下押しの要因になる懸念があるなど不安定要素も含んでいるところです。
 平成29年度国の一般会計予算の規模は、97兆4,547億円、前年度に比べて0.8パーセント増加し、5年連続で過去最高を更新しています。歳入では、税収と税外収入が全体の6割を占めていますが、残りは国債で不足分の財源を賄っています。一方歳出では、医療費などの社会保障費が3割強を占めて最も多く、次いで国債費も約25%を占めるなど、国の財政は極めて厳しい状況にあるといえます。
 本市の財政状況については、地方消費税交付金や法人市民税の減額見込みに加え、財政優遇措置である普通交付税合併算定替えの段階的縮減が3年目となり、一般財源総額の確保はより厳しさを増しています。また、歳出面では、社会保障費、公債費の伸びや公共施設の更新経費の増額が見込まれるなど、財政状況は引き続き厳しい状況です。
 このような状況の中ではありますが、平成29年度予算編成の基本的な考え方として、将来の高梁を見据えて力強く前進するために地方創生への取り組みを一層強化し、地域経済の活性化、本市の魅力の創造・発信や子育て支援をはじめとする社会保障の充実に重点を置いたところです。さらに、観光やスポーツによる交流人口の増加を目指す取り組み、豊かな自然環境を活かした施策、教育力の向上、市民の安全を守る防災関連事業などを着実に推進し、国の交付金などの財政措置を最大限に活用し、後年度の財政への影響にも十分配慮した上で予算編成を行いました。
 この結果、平成29年度の一般会計予算は、前年度当初予算に比べ16億円、率にして6.5%減額の229億2千万円となりました。これは、複合施設整備、ケーブルテレビ冗長化、道路改良事業など投資的経費の減などが主な要因としてあげられます。
 また、特別会計予算については、全体で前年度当初予算に比べて5億6,622万円、率にして3.5%増の166億1,012万円となりました。これは、養護老人ホーム特別会計の養護老人ホーム改築事業費の増加、下水道事業特別会計の施設整備事業費の増加、国民健康保険特別会計の療養給付費の増加などによるものです。
 一般会計と特別会計16会計を加えた総予算額は395億3,012万円で、前年度に比べ10億3,378万円、率にして2.5%の減額となっています。
 歳入ですが、市税は固定資産税の増額を見込むものの、法人市民税が8,600万円の減額見込となることから、前年度に比べ市税全体で4,787万円、率にして1.3%減の37億5,802万円を見込んでいます。地方交付税は、国が示す地方財政計画及び合併特例措置の段階的縮減などを考慮して5千万円、率にして0.5%減の97億5千万円を見込みました。また、地方消費税交付金は、地方財政計画により、4,360万円、率にして6.9%減の5億8,720万円を、国庫支出金は、複合施設や道路改良事業などの事業費が減少したことに伴い4億5,847万円、率にして20.5%減の17億7,428万円となりました。市債は、こども園や体育・文化施設への充当が増額となるものの道路改良事業や複合施設などへの充当が減少することにより2億2,130万円、率にして6.5%減の31億6,690万円となります。
 繰入金は、企業用地造成期間中の地域開発事業特別会計に対する一時的な繰り出しに充当する繰入金が前年度より減となることなどから、6億5,019万円、率にして33.6%減の12億8,307万円を見込みました。なお、財政調整基金の取り崩しは、特別会計への繰り出しが減少することから、前年度から3億円減の2億円を取り崩し、一般財源総額の調整を図ることとしています。
 続いて歳出ですが、減額要因として性質別でご説明しますと、普通建設事業費は約12億円、率にして28%減の30億7,816万円となります。これは、道整備交付金道路整備事業、複合施設、地域優良賃貸住宅整備など事業完了に伴い減額となっています。物件費は、3億6千万円余り、率にして9.8%減の33億1,740万円となっていますが、これは新図書館整備事業完了に伴う減少です。
 次に増額要因としましては、公債費が1億2千万円、率にして3.4%増の36億8,111万円、補助費等はアニメスタジオ整備など新規事業に伴い4,778万円増の28億1,491万円。積立金は、ふるさと応援基金積立金を4,355万円増の6,142万円。維持補修費は、体育・文化施設等の修繕料の増加により全体では3千万円増の1億4,504万円となっています。

 以上、平成29年度当初予算編成の考え方、また概要について述べさせていただきました。