傷病者の管理法
傷病者の管理法
突然の怪我や病気などで倒れて身体的・精神的にダメージを受けている傷病者の中には、自分で症状の悪化を軽減したり、苦痛を和らげたりすることができなくなっている場合があります。
そのようなとき、そばにいる私たちでできる応急手当に傷病者管理法があります。
傷病者管理法は、救急車が到着するまで、または医師の診察を受けるまでの間、症状の悪化防止、苦痛の軽減を図る
ために行う応急手当です。
<体位の管理法>
●傷病者に適した体位(姿勢)を保つことは、呼吸や循環機能を維持し、苦痛を和らげ、症状の悪化を防ぐのに有効です。
●傷病者の希望する、最も楽な体位をとらせてあげる。
●体位を強制してはいけません。
●体位を変えてあげる場合は、痛みや不安感を与えないようにする。
1 仰臥位(仰向け)
背中を下にして水平な体位です。
全身の筋肉などに無理な緊張を与えません。
最も安定した自然な姿勢です。
2 膝屈曲位
仰臥位で膝を立てた体位です。
腹部の緊張と痛みを和らげる姿勢です。
一般的に、腹部に外傷を受けた場合や、腹痛を訴えた場合に適しています。
3 回復体位(側臥位)
傷病者を横向きに寝かせ、下あごを前に出して気道を確保し、両肘を曲げ上側の膝を約90度曲げ、後ろに倒れない
ようにする体位です。
吐いた物を口の中から取り除きやすく窒息防止に有効です。
<ポイント> ・意識のない傷病者に適しています。
4 半座位
上体を軽く起こした体位です。
胸や呼吸の苦しい傷病者に適しています。
頭にけがをしている場合や脳血管障害の場合に適しています。
5 坐 位
座った状態でいる体位です。
胸や呼吸の苦しさを訴えている傷病者に適しています。
6 足側高位
仰臥位で足側を高くした体位です。
貧血や、出血性ショックの傷病者に適しています。
衣服のゆるめ方
●傷病者にとって楽な姿勢をとらせ、衣服やベルトなどをゆるめます。
●衣服は、傷病者に動揺を与えないように、できるだけ安静にしてゆるめます。
<ポイント>
◎傷病者に意識がある場合は、よく説明をし、希望を聞きながら衣服をゆるめ、無理強いをしないようにします。
◎胸にけがをしている場合、呼吸が楽にできる姿勢にしてあげます。
保 温(傷病者の体温を保つ)
●悪寒、体温の低下、顔面蒼白、ショック症状などが見られる場合は、傷病者の体温が逃げないように毛布などで保温をし
ます。
<ポイント>
◎電気毛布、湯タンポ、アンカなどで傷病者を温めることは、医師から指示を受けたとき以外はしてはいけません。
◎地面やコンクリートの床などに寝かせるときの保温は、身体の上に掛ける物より、下に敷く物を厚くします。
●熱中症を除き、季節に関係なく実施します。
●保温をすることによって、圧迫感を与えないように注意します。
●服がぬれているときは、脱がせてから保温をします。