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「旧吹屋小学校校舎」 平成~令和の大修理!

ページID:0045687 印刷用ページを表示する 掲載日:2022年3月14日更新

令和4年4月一般公開への道のり (1)

保存修理のため校舎解体へ

 平成 24(2012)年3月、当時国内で現役最古の木造校舎を使用していた吹屋小学校(成羽町吹屋)が閉校しました。

 明治 33(1900)年に建てられた東西校舎と明治 42(1909)年に完成した本館の建物は長い間大きく改築されることがなく、文化財としての価値が認められて県指定重要文化財に指定されていましたが、一方で劣化が進み、良好な状態で将来へ継承するにはどのような保存修理を行うかが最大の課題でした。

 すでに地盤の不同沈下で校舎は傾き、建物の強度不足も分かっていたので、いったん校舎を解体してから地盤補強と建物の構造補強を行うことが必要で、平成 27(2015)年 10 月から保存修理工事に着手しました。解体は、足場と素屋根を設けて慎重に進め、使用木材や石材などは元に戻せるよう位置などを記録し、また、瓦とともに一点一点傷み具合なども調査する地道な作業の連続でした。

 建物と基礎の解体が終わると、いよいよ次は地盤の補強へと移ることになります。<広報たかはし令和3年11月号>

瓦の取り外し 瓦の取り外し

解体して見えてきた本館の基礎 解体して見えてきた本館の基礎

令和4年4月一般公開への道のり(2)

校舎の傾きを防ぐために地盤補強へ

 本館土台は全体的に南東に向かって約 10 センチメートルも沈下していました。今後も地盤の沈下が起こるかもしれないので、その影響を抑えるには徹底した地盤補強を行う必要がありました。つまり文化財の建物をのせる“頑丈な地盤”を作り出すというわけです。

 工事では、基礎の撤去後に地面全体を約1.5メートル掘り下げ、全面に厚さ約 25 センチメートルの鉄筋コンクリート造の直接基礎(べた基礎)を打設し、さらに割石積布基礎(わりいしづみぬのきそ)や柱石などの下は厚くして土手状にしました。その上にモルタルを使いながら石を元のように置いていきました。

 土台が出来上がると、いよいよ建物を再び組み上げていきますが、その前には、材料の補修や加工が必要でした。<広報たかはし令和3年12月号>

べた基礎 鉄筋コンクリートによる地盤補強

割石積布基礎 割石積布基礎の再構築

柱石・束石 柱石・束石の再構築

令和4年4月一般公開への道のり(3)

材料を補修・加工しながら校舎再構築へ

 解体しながら木材や瓦などを調査すると、そのまま使用できるものや、傷んだり壊れたりしたものが出ます。文化財の歴史的価値をできる限り保存するために、補修で済みそうな木材は、元の材を残し、傷んだ部分だけを取り除いて新材で補いました。取り替えや新しく補った材には修理年号の烙印を押して、将来区別できるようにもしました。
 一方、どうしても取り替えなければならないものは同様の素材で復元します。石材は同等の石を用意し、瓦は典型的な瓦をもとに新たに制作しました。
 また、割石積布基礎(わりいしづみぬのきそ)の上に置く木製の土台を、石の凹凸(おうとつ)に合わせて加工する「光付け」(ひかりづけ)も行いましたが、これはかなり手間がかかりました。こうして、ようやく建物の再構築の準備が整いました。<広報たかはし令和4年1月号>

傷んだ柱の補修 傷んだ柱の補修

光付け作業 光付け作業

型どりによる土台調整 型取りによる土台調整

 

令和4年4月一般公開への道のり(4)

建物の構造を補強し完成へ

これから柱や梁など、さまざまな部材を元どおりに組み立てますが、安全に校舎を活用するには建物強度を高めることが必要です。
文化財に適した工法を検討した結果、土壁の下地に耐震性能が高いパネルを使用し、特に本館にはコンクリート基盤をがっちり抱え込み、2階天井に届く鉄骨フレームを壁内の2箇所に設置しました。また、屋根の重さを軽くするために、瓦は基本的に筋葺(すじぶ)きで 葺(ふ)きました。
その後、壁や建具、内装の仕上げ、さまざまな設備などの設置を経て、いよいよ完成です。

鉄骨と荒壁パネルによる補強 鉄骨と荒壁パネルによる補強

屋根トラス(骨組み)の再構築 屋根トラス(骨組み)の再構築

土の量を減らした筋葺き 土の量を減らした筋葺き

壁の漆喰塗仕上げ 壁の漆喰塗仕上げ