吹屋の下谷(しもだに)から下町(しもまち)・中町(なかまち)・千枚(せんまい)地区に至る約1.5kmの「高梁市吹屋伝統的建造物群保存地区」(国選定)を散策すると、弁柄の製造に携わった「旧片山家住宅」(国重要文化財)等で構成される赤褐色の瓦と弁柄塗りの格子で鮮やかに彩られた異空間を体感できる。また、町並みの周辺には、弁柄の製造工程を概観できる「ベンガラ館」や弁柄関連で財をなし豪壮な屋敷構えを誇る「旧広兼(ひろかね)家住宅」(市重要文化財)・「西江家住宅主屋等」(国登録)、さらに削岩機の跡も生々しい「笹畝坑道」、三菱の鉱山本部跡地に建築された明治のレトロ感溢れる「旧吹屋小学校校舎」(県重要文化財)があり、それらを周遊すると、「ジャパンレッド」を創出した往時にタイムスリップしたような錯覚をおぼえる。
<緑礬製造に携わった旧広兼家住宅>
近年、「赤い町並み」を舞台に、幻想的な夜の町並みを映し出す「吹屋ベンガラ灯り」、ベンガラ染めの衣装を纏った踊り連が優雅に舞う「吹屋小唄踊り」、地域の魅力をアートで表現する「吹屋ベンガラート展」や、自転車で疾走する「ヒルクライム大会」等を実施、豊かな自然と歴史・文化が融合した「ジャパンレッド」発祥の地の魅力を広く発信する取り組みを展開し、多くの来訪者で賑わっている。
<吹屋ベンガラ灯り>