精神障害者とは、統合失調症、精神作用物質による急性中毒又は依存症、うつ病等の精神疾患を有する者とされています。高次脳機能障害や発達障害も精神障害に含まれます。
統合失調症や依存症、うつ病の一般的な症状は、次のとおりです。
このような症状があると感じられる場合は、精神科への受診を勧めて下さい。
統合失調症は、心や体の不調や思い込みなどが続き、本人自身とてもつらい病気ですが、まわりに理解されにくく、再発を繰り返すことが多い病気です。
発病後1~2か月から数か月は、本人の病的体験(幻覚や妄想の内容を本当に体験していると信じ込んでいる状態)が強い状態になります。
症状としては、興奮したり、現実にないものがあると感じたり(幻覚・幻聴)、妄想により非現実的なことを信じ込む(見張られているなど)、考えがまとまらない等の陽性症状が現れます。
その後、発病後1~2年から数年経つと、比較的病状が安定しますが、何事にも意欲がなく、周囲のことに無関心になる、自発性が低下するといったような陰性症状が続きます。
統合失調症は、慢性の経過をたどることが多い病気です。
アルコールや薬物(覚せい剤・シンナー・大麻など)の精神作用物質(以下「薬物等」という。)による依存症とは、薬物等を繰り返し使用することにより、その使用が日常化し、薬物等の使用を止めようと思っても、自分の意志では止められなくなった状態です。
この依存の状態は、精神依存と身体依存の二つに分けて考えられていますが、依存の本質は精神依存です。
薬物等を摂取することにより、非常に強力な陶酔感や幸福感を感じます。そして、繰り返し摂取することで、脳内の神経機能に異常が生じ、この感覚が忘れられなくなります。精神的な依存状態では、その薬物等の効果が消失しても、身体的な不調は現れませんが、薬物等に対する強烈な摂取欲求が生じ、薬物等の入手に固執する行動を行うようになります。
また、薬物等の依存症者が何らかの理由で薬物等を切らしたりすると、手が震えて脂汗を吹き出し、果ては全身が痙攣したりといった離脱症状に至る場合があります。このように身体の不調をきたし、その薬物が止められない状態を身体依存の状態といいます。
身体依存の状態になった人は、離脱症状から逃れるため、薬物等の使用を繰り返します。
うつ病は、気分がひどく落ち込んだり何事にも興味を持てなくなったりして強い苦痛を感じ、日常の生活に支障が現れるまでになった状態です。
うつ病の基本的な症状は、強い抑うつ気分、興味や喜びの喪失、食欲の障害、睡眠の障害、精神運動の障害(制止または焦燥)、疲れやすさ、気力の減退、強い罪責感、思考力や集中力の低下、死への思いであり、他に、全身の倦怠感や疲労感、微熱感、頭痛などの身体の不定愁訴(体のどこかが悪いのかはっきりしない訴えで、検査をしてもどこが悪いかはっきりしない)を訴える人も多く、被害妄想などの精神病症状が認められることもあります。
交通事故や脳卒中などで脳の一部が損傷を受け、身体の麻痺などの肢体不自由とは別に、思考・記憶・行為・注意などの脳機能に障害が起こることがあります。この状態を、高次脳機能障害といいます。
これらの障害は様々で、ひとりひとり異なっています。また、外見からはわかりにくく、周囲の理解を得ることが難しいことも特徴です。下記のような主な症状をいくつか併せ持っていることも多くあります。